台湾の興味深い政策
本日明日と、第11回比較労働法セミナーが開かれ、日韓中台英独仏スウェーデン米豪の労働法研究者が一堂に会して従業員代表制についていろいろ議論を交わしています。わたしは報告やコメント義務のない気楽な聴衆として聞いているのですが、本日の台湾の鄭先生の報告の中に、本筋とはあまり関係ないのですが、興味深い政策が聞かれました。正確にいうと、先生の話の中ではごくさらりと触れられただけで、以下の説明は報告ペーパーに書かれている記述です。英文からの邦訳なので、元の中国語とは違っている可能性があります。
それは、企業に労使協議会を促進するための政策という文脈で紹介されたものですが、1999年に台湾政府が、企業が株式を上場して取引するための条件として、次のような基準を定めたという話です。
1)その企業が過去3年間労働基準法の違反で罰金を課されていないか、
2)その企業が被用者福祉委員会を設置しているか、
3)その企業が労使協議会を設置しているか、
4)その企業が毎月退職金の支払いのために一定額を控除しているか、
5)その企業が確立した基準を遵守して必要な安全衛生を提供しなかったために深刻な労災が起きたか、
6)その企業が労働保険の保険料を払っているか、払えといっても払わずにいないか、
鄭先生は、この仕組みが労使協議会の設置促進に役立っていると言われたのですが、このリストを見ていると、それ以外にもいろいろ役立てそうです。
日本でも、中小零細企業だけでなく、上場企業まで出世していてもいろいろと問題のある企業もあることもありますし。
もっとも、世の圧倒的大部分は上場なんかと関係のない中小零細企業ですから、その効果はもちろん限られていますけれども。
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