労組法上の労働者性:ビクターサービスは差し戻し
3匹目はあんまり注目を集めないようですが・・・、
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120221142437.pdf
主 文
原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。
労組法上の労働者性が最高裁で争われていた事件3兄弟の3匹目、ビクターサービス事件は、高裁差し戻しとなりました。
上記(1)の諸事情に鑑みると,本件における出張修理業務を行う個人代行店については,他社製品の修理業務の受注割合,修理業務における従業員の関与の態様,法人等代行店の業務やその契約内容との等質性などにおいて,なお独立の事業者としての実態を備えていると認めるべき特段の事情がない限り,労働組合法上の労働者としての性質を肯定すべきものと解するのが相当であり,上記個人代行店について上記特段の事情があるか否かが問題となる。しかしながら,C製品以外の製品の修理業務を行う個人代行店が2店存在する一方で,その業務の内容や割合等は明らかではなく,また,個人代行店はその従業員を修理業務に従事させることが禁止されていないものの,その従業員の有無及びその従業員が行っている業務の内容が日常的に補助的業務の範囲を超えているか否か等は明らかではなく,さらに,被上告人は法人等代行店とも業務委託契約を締結しているところ,法人等代行店の業務の実態やその契約の内容等の詳細は明らかではない。このように,前記事実関係等のみからは,個人代行店が自らの独立した経営判断に基づいてその業務内容を差配して収益管理を行う機会が実態として確保されているか否かは必ずしも明らかであるとはいえず,出張修理業務を行う個人代行店が独立の事業者としての実態を備えていると認めるべき特段の事情の有無を判断する上で必要な上記の諸点についての審理が十分に尽くされていないものといわざるを得ない。なお,個人代行店は,出張業務に際して自ら保有する自動車を用い,その諸費用を自ら負担しているが,一方で高価で特殊な計測機器等については被上告人から無償で貸与されているなどの事実にも鑑みれば,それだけでは上記のような機会が確保されていると認めるには足りないというべきである。また,個人代行店が被上告人から支払われる委託料から源泉徴収や社会保険料等の控除を受けておらず,自ら確定申告を行っている点についても,実態に即して客観的に決せられるべき労働組合法上の労働者としての性質がそのような事情によって直ちに左右されるものとはいえない。
・・・・以上によれば,前記4(1)の諸事情があるにもかかわらず,出張修理業務を行う個人代行店が独立の事業者としての実態を備えていると認めるべき特段の事情の有無を判断する上で必要な上記の諸点について十分に審理を尽くすことなく,上記個人代行店は被上告人との関係において労働組合法上の労働者に当たらないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そこで,前記4(1)の諸事情がある以上,出張修理業務を行う個人代行店は独立の事業者としての実態を備えていると認めるべき特段の事情のない限り被上告人との関係において労働組合法上の労働者に当たると解すべきであることを前提とした上で,参加人らに加入する個人代行店の修理業務の内容,当該個人代行店が独立の事業者としての実態を備えていると認めるべき特段の事情があるか否か,仮に当該個人代行店が労働組合法上の労働者に当たると解される場合において被上告人が本件要求事項に係る団体交渉の申入れに応じなかったことが不当労働行為に当たるか否か等の点について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
事業者性について審理不尽であるので、もう一遍調べいということですが、枠組みとしては消極的判断要素たる事業者性に焦点が当たっているように見えます。
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