厚生労働大臣vs労働基準監督官
昨日紹介した沢村凜『ディーセント・ワーク・ガーディアン』(双葉社)の第6話「明日への光景」は、時の厚生労働大臣が労働基準監督官分限審議会(労基法97条5項)を開いて、主人公の黒鹿労働基準監督署第2方面主任労働基準監督官三村全を罷免しようとするという、いささか非現実的なストーリーですが、近年の政治状況が巧みに織り込まれていたりするところが何とも・・・。
>「悪いが、良くないニュースだ」
職場でと同じ端的な物言いで、次長は早くも三村の希望を砕いた。
「本省に、お前を守る気はなさそうだ。周知のことだが、あの大臣は、就任直後からさまざまな分野で自己流を通そうとして、本省の幹部連中とバトルになっている。立場上の問題だけでなく、長い期間を費やしてきた重要な政策や施策が危うくなっている状態で、今度のことは・・・彼らにとっては些末な問題なんだ。監督官の首一つで大臣に貸しを作って、ほかで譲歩を引き出せるなら、利用させて貰おうというのが、大筋の方針のようだ」
「そうですか」
その方針を責める気にはなれなかった。客観的に考えれば、妥当なものだろう。
「こうなると、うちの労働局だけでどれだけ抵抗できるか。局長はともかく、総務課長や監督課長は闘う姿勢を見せているんだが」
その心情的な援軍は、この事態の前で大きな意味はなさないだろうと思った。・・・
このあたりは、やや刑事ものドラマっぽいですが。
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