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2011年12月20日 (火)

高橋賢司『解雇の研究』

4589033048 法律文化社の小西英央さんより、高橋賢司さんの近著『解雇の研究 規制緩和と解雇法理の批判的考察』をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-03304-8

>失業対策と労働市場活性化を名目として唱えられた解雇法制の規制緩和論を、EU法・ドイツ法の比較研究を踏まえ批判的に考察。日本の解雇法制への規範的視座を提供する。

高橋さんはここ数年、『立正法学論集』に「甦る解雇の自由」と題して、かなり詳細なドイツ解雇法制の分析を連載しておられたので、てっきりそれを本にしたものかと思っていたのですが、ドイツ解雇法制に関するところは紀要論文に比べるとかなり圧縮されていて、その分、後半の日本法についての議論が充実されていました。

これは出版政策としてはなるほどと思うところもありますが、紀要論文の膨大なコピーもとっとかないといけないですね。

ここでは一点だけ違和感を感じたところを。高橋さんは解雇の金銭解決制度について、

>労働契約法16条を空文化させないため、今後解雇の補償制度を実定法化することには慎重でなければならない・・・

>使用者が数ヶ月の賃金相当額の補償額を覚悟すれば、労働者を解雇できるというのであれば、使用者における解雇の恣意性が増すものと思われる。・・・

>むしろ、解雇法理における労働者の権利の実現過程の問題としては、信義則に基づき、解雇訴訟継続中・訴訟後の継続・再雇用請求権を法定化すべきである

等とのべるのですが、これは正直言って、膨大な費用と機会費用をあえて掛けて裁判闘争に訴えるごくわずかな労働者にとってはそういえるかも知れませんが、そこまでやってられない圧倒的多数の労働者にとっては、金銭解決の可能性すらそう簡単なものではない状態を維持するものという面もあるように思われます。

そもそも「使用者が数ヶ月の賃金相当額の補償額を覚悟すれば」といいますが、それは弁護士を立てて(つまり一定の費用を掛けて)労働審判やったときの相場であって、自分一人で労働局のあっせんやったら、とてもそこまで行きません。半分以上は会社側不参加ですから、クビ代1万円でも取れればいい方。解雇の恣意性なんて、現にいくらでもあるものであって、判例集に載っているものだけが日本社会の現実というわけではないのですから。

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