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2011年12月16日 (金)

阿部彩『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂 』

2881352 ということで、OECD報告とぴたりタイミングが合いましたが、日本の貧困・格差問題に関心が湧いたら、この本を。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2881357

著者の阿部彩さんは、いうまでもなく国立社会保障・人口問題研究所で、貧困問題を研究している方で、岩波から出た『子どもの貧困』は大変話題になりました。

本書は、子どもに限らず、女性や高齢者など、貧困全般のわかりやすい解説書です。「弱者の居場所がない社会」というちょっとひねったタイトルは、編集担当の堀沢加奈さんによると、

http://twitter.com/#!/gorikichi/status/141323372373086208

>「社会的排除」と「社会的包摂」についての12月刊新書を校了中。著者は阿部彩さん。タイトルは「社会的包摂」が見慣れない硬い言葉なので苦心して、『弱者の居場所がない社会ーー貧困・格差と社会的包摂』。

だいぶ苦心されたようですね。

で、この本ですが、

>誰でも「居場所」「つながり」「役割」を持って生きていたいと願う。そのキーワードとなる「社会包摂」なしに、これからの社会保障政策は語れない。気鋭の研究者が、熱く熱く語る。

「熱く熱く」というのは伊達ではありません。どれくらい熱いかというと、ご本人自身、

>・・・そのときに私のなかから衝動的に溢れ出してきたのが、第3章、5章で書いたホームレスのおっちゃんたちのエピソードと、それに突き動かされる社会的包摂政策への切望の念だった。どちらかといえば、客観的なデータ重視で論考を進める私のスタイルとは一転する展開となった。

私も共著で参加した『自壊社会からの脱却』の「ユニバーサルデザイン社会の提案」で出てきたホームレスのかっちゃんたちが、再び登場しています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-0297.html(貧困の社会モデルまたは労働市場のユニバーサルデザイン化)

内容は次の通りですが、

>プロローグ 社会的包摂と震災
第1章 生活崩壊の実態
第2章 「最低生活」を考える
第3章 「つながり」「役割」「居場所」
第4章 本当はこわい格差の話
第5章 包摂政策を考える
第6章 インクルーシブな復興に向けて

やはり、阿部さんがかつて取り組んでいたホームレス支援時代のエピソードがいろんな意味で胸を打ちます。

最後の「インクルーシブな復興に向けて」の章から、

>・・・まだ、ボランティア活動を始めたばかりの頃、やる気満々だった私は、ある炊き出しの現場で、せっせと調理や配膳、食器洗いなどを始めた。すると、ボランティアの古顔の一人に腕をつかまれ、部屋の隅に連れて行かれ、言われたのである。「あなたが張り切っても意味がない」。

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