長年のもやもやを晴らしてくれた一冊
アマゾンカスタマーレビューの5つめは、yoss_2525さんの「長年のもやもやを晴らしてくれた一冊」という評です。
>私はまもなく50歳に手が届くという年代であるが、今頃になって長年の就職に対するもやもやが晴れたような気がする。そのもやもやを晴らしてくれたのが本書である。
どういうもやもやが晴れたのかというと、
>まず著者が提示するのが、他の評者が書かれているように「日本の雇用は欧米型のジョブ型ではなく、メンバーシップ型である。」ということである。この部分だけでもやもやの9割は晴れた。
民法では『雇用契約』とは労働を提供する側とそれに対して対価を支払う側との契約である、と示している。これによると労働者と使用者は契約の当事者であるが、同じ側に立つものではない。しかし実際には会社の一員(正社員)となるというのが実態であると著者は説明する。
よく考えれば労働力の提供に対して対価を支払うためには、その労働力を特定して、それの対価がいくらか、ということ決めないと契約なんかできないはずであるが、わが国でそのような契約をして就職している人が何人くらいいるのであろうか。
実際には「その会社のメンバーでいる」ことに対して賃金を支払っているのであろう。
だから、「成果主義」もうまくいかないし(そもそも成果を要求される、なすべき『ジョブ』を決めていない)、自分の望まない配置転換も感受しなければならない。
本書では、このあたりを「なぜこうなったのか」という歴史を交えてわかりやすく書かれている。
私のもやもやというのは、法律と現実があっていないということであった、ということが本書を読んでわかった。もやもやがどんなことに対するものかさえわからなかったという恥ずべき状況であった。
さいごのところで、
著者は労働省で官僚として労働法制に関わってきており、いわゆる「労働法学者」とは異なるキャリアを持っている。それだけに、理論だけではなく現実に即した内容の著書を記すことができるのであろう。
若い人、それもこれから就活に臨もうという人にぜひ読んでもらいたい本である。
と、若い人、就活に臨もうとしている人々に勧めていただいております。
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