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2011年12月 1日 (木)

学校基本調査の改正

『労基旬報』1月25日号に寄稿した「学校基本調査の改正」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo111125.html

>文部科学省が、学校基本調査の調査票を来年度(平成24年度)から改正しようとしているということである。学校基本調査は言うまでもなく、終戦直後から実施されている教育関係の中心的な統計調査であり、学校数,在学者数,教職員数,学校施設,学校経費,卒業後の進路状況等について、毎年5月1日現在で全数調査を行っている。

 改正しようとしているのは、そのうち大学等の高等教育機関用の卒業後の状況調査に関するところである。今年度までの調査票では、卒業後何らかの仕事に就いた者については、「就職者」という項と「一時的な仕事に就いた者」が用意されていた。解説によると、「就職者」とは「給料、賃金、報酬、その他の経常的な収入を目的とする仕事に就いた者をいう」のに対して、「一時的な仕事に就いた者」とは「臨時的な収入を目的とする仕事に就いた者をいう。例えば、アルバイト、パート等で一時的な仕事に就いた者を記入する」とある。この二分法が、「経常的な収入を目的」として働く者、つまり家計維持的に働く者はすべて正社員となり、パート、アルバイトなど非正規労働者になる者はすべて「臨時的な収入を目的」とする家計補助的就労者であるというかつて一般的であった社会認識をそのまま取り入れていることは見やすい。今日、経常的な収入を求めても正社員として就職できず、やむなく有期契約の更新を繰り返して生活している非正規労働者が多く見られるようになっていることを考えれば、調査票の改正は遅きに失した感もある。

 しかしながら、来年度以降用いられる予定の調査票案を見ると、労働市場の現実をどの程度認識した上で設計しているのか、いささか疑問も感じられる。それによると、「就職者」を「正規の職員・従業員、自営業主等」と「正規の職員等でない者」にわけ、これと別に「一時的な仕事に就いた者」を設けることになっている。解説によると、「正規の職員・従業員」とは「雇用の期間の定めのない者として就職した者」であり、「正規の職員等でない者」は「雇用の期間が1年以上で期間の定めのある者であり、かつ1週間の所定の労働時間が概ね40~30時間程度の者」であり、これに対して「一時的な仕事に就いた者」とは「臨時的な収入を目的とする仕事に就いた者であり、雇用の期間が1年未満又は雇用期間の長さにかかわらず短時間勤務の者。一般的に、パート、アルバイトとして雇用される者が該当すると考えられる」となっている。

 雇用契約が(更新を繰り返した後の実態としての勤続期間ではなく)1年以上であるか1年未満であるかというところで、「就職者」かそうでないかの線引きすることにどういう意味があるのであろうか。2009年改正以前の雇用保険法が、まさにそのような適用基準を設けていて、それが多くの非正規切りによって矛盾を露呈したため、同年の改正で6か月、2010年改正で1か月という基準に変更したことは記憶に新しい。雇用契約は数ヶ月であっても、それを「経常的な収入」として働いている非正規労働者がこれだけ増加している中で、彼らを一律に「臨時的な収入」目的の労働者と見なすような調査票案には、再考の余地があるように思われる。

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