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2011年12月29日 (木)

神吉知郁子『最低賃金と最低生活保障の法規制』

41n43pby7nl__sl500_aa300_神吉知郁子さんより、『最低賃金と最低生活保障の法規制』(信山社)をお送りいただきました。ありがとうございます。この本は、彼女の博士論文『法定最低賃金の決定構造 日英仏の公的扶助、失業補償、給付付き税額控除制度を含めた比較法的研究』をもとにした初めての単著です。

目次は信山社のHPに載っていますので、コピペしますが、

第1章 序  論
 Ⅰ 問題の所在
 Ⅱ 検討方法
 Ⅲ 本書の構成

第2章 日  本
 Ⅰ 現行制度に至るまでの最低賃金規制
 Ⅱ 最低賃金法の成立から平成19年改正までの展開
 Ⅲ 平成19年改正による新たな最低賃金制度
 Ⅳ 最低賃金法制と社会保障各制度との関係
 Ⅴ 小括――日本の最低賃金制度と社会保障制度

第3章 イギリス
 Ⅰ 現行制度に至るまでの最低賃金規制
 Ⅱ 全国最低賃金制度
 Ⅲ 社会保障・税制度
 Ⅳ 小括――イギリスの最低賃金制度と社会保障・税制度

第4章 フランス
 Ⅰ 現行制度に至るまでの最低賃金規制
 Ⅱ 全職域成長最低賃金(SMIC)制度
 Ⅲ 社会保障・税制度
 Ⅳ 小括――フランスの最低賃金制度と社会保障・税制度

第5章 総  括
 Ⅰ イギリス
 Ⅱ フランス
 Ⅲ 英仏における法定最低賃金の役割
 Ⅳ 日本の課題に対する示唆

最低賃金制度自体、これまで労働法学ではあんまり本格的には取り扱われてこなかった領域ですが(まともな単著は役人の書いた名著が主)、それと失業補償、公的扶助、さらには税制まで視野を広げて、在職中から離職中までのセーフティネットのありようを法学的に考察した数少ない研究書と言えましょう。

数少ないのは、要するにこれまであんまり関心を持たれてこなかった領域だからなのでしょう。彼女が法学部を卒業して大学院に進学したのが2003年で、ちょうどその少し後あたりから、ワーキングプアとか、セーフティネットの欠落とかいった問題領域が、それまでの無関心から突如として世間的に騒がれ出した時期で、その時代の問題意識を受け止めて自らの研究対象にしていったことが、この本に結実したわけですね。

はしがきから、彼女のこの研究に寄せる思いを示す一節を:

>いわゆるロスト・ジェネレーション世代の筆者は、バブル経済の崩壊と就職氷河期の到来、非正規雇用の急増といった、労働と生活をめぐる問題を常に突きつけられてきた。労働とは何か、どうあるべきかという問いは、自らの人生前半における大問題であり、労働法の研究者を志した原点でもある。

>・・・そのような状況(東日本大震災)を受けて、大幅な加筆修正に取り組むうち、自分の問題意識の甘さや、この広大な問題に取り組むにはいかに非力であったかを思い知らされた。しかし、そのような状況でも、単なる金銭ではなく雇用こそが求められているという事実は、重要な気づきであった。労働の対価たる賃金によって生活を支えることが、持続可能な社会の基盤となっていることを再確認したことは、自らの研究の原点を振り返ることにつながった。

アカデミズムの中だけではなく、労働社会政策を広く考えようという人には不可欠な本だと思います。例によって、信山社の本は高いんですけど。





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