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2011年12月13日 (火)

非大学型高等教育

9784750334875 拙監訳『世界の若者と雇用』の完成本と一緒に、最近明石書店から出た『世界の教育改革4 OECD教育政策分析』も送られてきました。

http://www.akashi.co.jp/book/b95008.html

これ、非大学型高等教育、教育とICT、学校教育と生涯学習、租税政策と生涯学習、といった雑多なテーマが含まれていますが、このうち、第1章の「非大学型高等教育」は、アカデミックな大学イメージだけで高等教育を語りがちな知識人の偏見を破る意味で、広く読まれるべきと思います。

>今後の大学は高等教育を提供する唯一の機関としての独占的な役割を担うことはない。多くの国では、高等教育レベルの学生の3分の1以上は大学以外の高等教育機関に在籍している。またいくつかの国においてはそれは半数以上になっている。・・・

p32-33の表1.1を見ると、たとえばオランダでは高等教育全体の入学者のうち高等専門学校が62%、フィンランドではポリテクニクが42%といった状況です。

この表では、日本の高等教育入学者のうちご立派なはずの大学が75%を占め、短大が8%、高等専門学校がわずか1%、専修学校が16%となっています。それだけ。

ほほお、日本国の文部科学省がOECDに示している資料では、(まさしく高校卒業後の職業教育訓練を担当する)職業訓練(短期)大学校は、高等教育機関とは見なされていないようですね。変なのもある専修学校は高等教育なのに。まあ、学校教育法に書いてあるかどうかが境目なのでしょうけど。

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コメント

http://anond.hatelabo.jp/20111219120206

「専門学校教員の寝言」
と称する現場の匿名の教員の告白

四則演算

この記事のポイントは,最後の

> まあ、学校教育法に書いてあるかどうかが境目なのでしょうけど。

というところだと思いますけどね.

hamachan 先生風に言えば,日本国の学制上の教育機関であるところの「大学」は,当然日本国にしか存在せず,日本国の学校教育法の効力の及ばない他国には存在しない教育機関である,といったところでしょうか.

日常語としての日本語の「大学」と言う語は,かなり多様な教育機関を含む語として使われていますね.合衆国の MIT が,「マサチューセッツ工科大学」と訳されたり,フランスのエコール・ポリテクニクが,「理工科大学」と訳されたりしています.

MIT や ポリテクニク は,ある種の誇りを持って「大学」(university?) を名乗らない,というところがあるように思います.MIT は「大学」を名乗る要件を満たしているらしいですが.MIT や ポリテクニク のような「工科学校」は,市民革命後に,新しい時代の教育を象徴する学校として生まれていますから,革命前のアンシャン・レジーム下で存在していた「大学」とは区別したい,という考えがあるのではないかと推察しています.

フランスのエコール・ポリテクニク誕生の経緯については,高木貞治著『近世数学史談』(岩波文庫 青939-1) に簡単な説明があります.

> 十九世紀初頭三十年間はフランス数学の隆盛期であるが,その中心は有名なる巴里工芸学校,e'cole polytechnique であった....
> ... 創立当時の事情を数学者ヤコービが 1835 年に面白く述べている (ヤコービ全集,第 7 巻).次に少し抜書をする.
> 「1793 年にはフランス国内の学校は凡て閉鎖され又は荒廃の状態にあった.教官は大部分僧侶であったから,革命政府に由って追放され,十八歳から二十六歳までの青年は仮政府の招集に由って護国軍に参加したのである.」このような動乱の時代に奇妙な因縁から無類なる特色を有するパリ工芸学校が生まれ出でたのである.
> フランスは内外共に多事であった.多数の青年士官及び技術者を迅速に養成することが焦眉の急である.この時局を救う為に精密科学の素養を必要とする各科を網羅する中央学校をパリに創立することが土木学校長 Lamblardie に由って発議せられ, ...

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