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2011年11月27日 (日)

ユニクロの労働者が大学に通っているということでしょう

例のユニクロの話について、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-ca85.html(それは高卒採用とどう違う?)

楠正憲さんがこういう疑問を書かれています

http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20111121/ne#seemore(青田買いの何が悪い?)

>これってどう読めばいいんだろう?大学1年生の時点で採用を決めるって内定を出すって意味?在学中の数年間もアルバイトしてもらい、卒業と同時に店長、うーん、うーん。在学中のアルバイト期間を職務経歴として評価し、飛び級で店長にするという点がポイントなのかな?内定というのは法律上は始期付解約権留保付労働契約といって、卒業後に雇いますよ(始期付)ひょっとして雇わないかも知れないけど(解約権留保付)ってことらしい。これを最大4年間も引き延ばすというのは労働法上どうなのか是非とも専門家の意見を聞いてみたいとこだけれど、記事中では内定ではなく採用といってるんで、単に息の長い始期付労働契約(解約権留保無)なのかも知れない。現実には経済状況なんて変わるんだし、成長している企業ほど業容拡大のペースが鈍ったところで採用は大きく影響を受けるだろうから、中長期で考えた場合に解約権留保の有無にどれほど現実的な意味があるのかは分からない。

ですから、「アルバイト」は、もともとドイツ語で「労働」という意味だったことを抜きにしても、労務提供と報酬支払いの双務契約という意味でれっきとした労働者であり、労務提供も報酬支払いもない「内定」とは全然違います。要するに、ユニクロに採用された労働者が、引き続き大学に「も」通っているということでしょう。労働法的にいえば。

あえて労働法上の概念に惹き付けていえば、大学卒業を管理職登用への条件とする一種の試用期間ないし、使用期間的意味合いを持った有期労働契約ということになるのかも知れませんが、少なくとも、労務提供も報酬支払いもない「内定」に対して用いられる「青田刈り」という言葉で表現されるべき事態とは明らかにことなるように思われます。

なぜユニクロに対して「青田刈り」という言葉がすぐに飛び出してくるのかというと、物事を労働側から考えるのではなく、教育側から考えるという、抜きがたいバイアスがあるからでしょう。

教育側から考えれば、大学4年生までは労働などという世界にけがされることなく、学問の世界で純粋培養されるのがあるべき姿で、それが、ただでさえ大学3年まで侵入されているのに、それが大学1年にまで侵略されるとは許し難い!ということになるのでしょう。

しかし、労働の世界から見れば、何歳で就職し、かつその間どこで何を勉強するかしないかなどは自由であって、ユニクロの労働者が就職後3年間大学で自分に役立つ勉強「も」しているという状態を純粋でないからケシカランなどと貶す権利は誰にもありません。

こういう発想が瀰漫するのも、定時制とか、通信制とか、勤労青少年のための学習機会を確保するための機関が、社会の主流の人々の意識から抜け落ち、どんどん潰されているということを無関係ではないかも知れません。

その意味で、楠さんの

>企業が何としても優秀な人材を学部在籍中に囲い込みたいのであれば、誓約書のような姑息な手段ではなく、学部の間に入社させてしまって学費を奨学金として貸与しても良い。奨学金を出すかはさておき何年間も中途半端な立場でアルバイトさせるよりは、入社そのものを前倒しする方が学生にとっては望ましい。恐らく労働時間の関係やら福利厚生のコストが馬鹿にならないので学生の間はアルバイトとして雇いたいのだろうが、この辺は我が国の社会保障制度の歪みに起因するところであって、新卒一括採用の問題とは別に中長期的にフェアな制度へと組み立て直す必要があるのだろう。

という意見には、基本的に賛成です。

このあたり、OECDの『世界の若者と雇用』での議論を踏まえて、わたくしが最近、

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo111025.html(学習と労働の組み合わせ)

で書いたこととも絡みますし、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_cfc4.html(事実上のデュアルシステムとしてのアルバイト)

で引用した諏訪康雄先生の言葉ともつながるでしょう。

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