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2011年11月23日 (水)

『契約社員の就業実態―個人ヒアリング調査から―』

TakahashiJILPTの高橋康二さんの執筆した『契約社員の就業実態―個人ヒアリング調査から―』がアップされました。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2011/11-096.htm

>本研究の目的は、契約社員(直接雇用のフルタイム有期契約労働者から定年後再就職者を除いた者、と定義)の人事管理と就業実態について実証的に研究することで、かれらの処遇の向上および雇用の安定のために求められる対策について含意を得ることである。

現在、労政審の労働条件分科会で議論されている有期契約労働者の問題について、当の契約社員の側はどう働いてきており、どのように考えているのかについて、一人ひとりに丁寧にヒアリングして明らかにしたレポート。

先日公表された小野さんの派遣の報告書と読み比べてみても面白いと思います。

主な事実発見としては、

>(契約社員の特徴に関連した分析から)
・契約社員には、正社員として働くことを希望していたが、転職・就職環境が厳しくやむを得ず契約社員として働くに至った者が多い。そして、職場では正社員の仕事に近い仕事をしている場合が多い。
・契約社員の多くは、(定義上)有期雇用であることにより、 契約更新にかかわる精神的負担、能力開発や長期的な仕事への取り組みの困難、生活不安・将来不安、といった問題に直面している。
・契約社員には、正社員の仕事に近い仕事をしている者が多いが、賃金をみると、大きなバラツキがあるものの、同じ仕事をしている正社員より高い者はほとんどいない。ここから、少なくない職場で、正社員と契約社員の賃金の差が、両者の仕事の差に見合っていない状況が発生していることが予想される。
・契約社員には、もともと正社員として働くことを希望しており、現に正社員と近い仕事をしていることもあってか、正社員に変わりたいと希望している者が多い。

(契約社員の類型に関連した分析から)
・若年の契約社員の多くは、現在の会社での正社員登用を希望している。また、正社員登用を希望する若年の契約社員のなかには、正社員になることによって仕事の拘束性が高まっても構わないと考えている者が多い。ちなみに、かれらが契約社員となるに至った原因を辿ると、多かれ少なかれ、在学中の就職活動が不調あるいは不十分であったという事実に行き着く。
・家計補助的に働く契約社員のなかには、同一の職場での勤続年数が非常に長く、仕事内容やスキルが高度化しているにもかかわらず、それ相応の賃金を貰っていない者が少なくない。また、かれらの多くは賃金に対して強い不満を表明している。ちなみに、かれらのなかには、結婚、出産、育児、介護、病気といった事情で正社員としての仕事を退職した経験がある者が多い。
・生計を維持するために働いている契約社員の多くは、雇用の安定を切望していると考えられる。にもかかわらず、かれらが契約社員として働いているのは、正社員として勤めていた会社を非自発的に離職した後、正社員として再就職することを希望していたものの、中高年者にとって厳しい再就職労働市場の現実に直面し、契約社員という働き方を選択せざるを得ない場合が多いからだと考えられる。

政策的含意としては、次のようなことを指摘しています。

>・契約社員の類型を問わず、「労働契約法」第17条、「有期労働契約の締結、更新、雇止めに関する基準」(2003年10月2日厚生労働省告示第357号)の運用をより確実なものにすることが求められる。また、パートタイム労働者だけでなく、フルタイムの有期契約労働者についても、「均衡・均等待遇」の原則の適用、正社員転換のための措置義務の適用などが検討されてよい。
・若年の契約社員については、現在の会社での正社員登用を基本軸として対策を検討することが求められる。また、その際には、在学中の就職指導、新卒者の就職支援のあり方にも視野を広げる必要がある。
・家計補助的に働く契約社員については、とりわけ賃金に対する不満が強いことから、かれらの賃金が正社員の賃金と均衡のとれたものとなっているか入念に検証していく必要がある。また、そもそもかれらが契約社員となった原因をみるに、育児や介護、病気のための休職制度、短時間勤務制度の一層の普及と定着も望まれる。
・生計を維持するために働いている契約社員が置かれた状況を改善するためには、再就職時のいわゆる「年齢の壁」の問題に取り組むことも求められる。

こういうことなんですが、できればヒアリング記録自体を読んで、確認してください。特に、有期雇用であることからくる精神的負担を語っている部分。いくつか報告書の中からコピペしておきますと、

>労働条件については、何よりも、有期雇用であることが問題であり、不安が頭から離れないという。会社が経営面で問題を抱えているわけでなく、雇い止めになる要素も少ないが、契約更新のたびに緊張を強いられるのである。例えば、有給休暇を連続して取得したりすると、所長に「そんなにしょっちゅう休んでいるのなら、ずっと休んでもらってもいいよ」と軽口を叩かれたりする。XA 氏としては冗談だと思いたいが、常に身構えてしまう。やはり、不安定雇用はよくないと感じている。

>しかし、労働条件には不満がある。第1 に、有期雇用であることに不満を感じている。たとえば、契約更新の時期になると、「次は更新されないのではないか」と不安に思うことがある。実際、勤務態度や業績を理由に契約を更新されなかった人を知っている。また、過去にどんなに高い業績を挙げた人でも、一時的に会社の業績が悪化すると、会社は雇い止めをするなどの姿勢をみせるので、雇用が保障されている正社員との間の差を強く感じる。有期雇用にしなければならないという特別な理由はなく、職場で働く全員が、翌年のことを視野に入れながら仕事をしているにもかかわらず、自分たちがこのような不安に駆られなければならないのは、XB 氏として納得がいかない。

>労働条件については、第1 に、有期雇用であることが不満であり、納得がいかないという。XC 氏は21 年間いまの会社に勤め続けているわけであるが、そもそも何のために1 年契約にしているのか、ずっと疑問に思っている。また、有期雇用であるため、何事もなければ契約は更新されるとわかっていても、「ひょっとしたら更新されないのではないか」という不安が頭を離れないという。

>労働条件については、不満に思うことがある。第1 に、1 年契約の有期雇用なので、契約が更新されるかどうか不安であり、常にビクビクしていなければならない。実際、上司の眼がいつも気になっており、あまり自由に自分の意見を言いにくい環境である。

・・・・・・

というふうに、有期契約であることが不安をもたらし、上司に対して自由に発言しにくい状態をもたらしていることが窺われます。


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コメント

貴エントリーを読んで、感じたことを申し上げます。私の会社は教育業で、年間3000労働時間をおそらく超えているとはいえ、社内的な風通しや人間関係の良さで多分、定年までここにいると思います。
ただし、一番やるせない想いをするのは、上記労務環境ですから人材を年中募集しているのですが、正社員募集と謳いながら、採用を決めた人数の中ですら10人のうち、9人は契約社員で採用しているということです。正社員昇格という可能性をインセンティブに、『ミスマッチ』を排するという経営的な思惑は分からんでもないのですが、それなら最初から契約社員募集と銘打てよと思います。

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