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2011年11月 4日 (金)

学習と労働の組み合わせ

『労基旬報』10月25日号に掲載した「学習と労働の組み合わせ」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo111025.html

>近く、私の監訳でOECD『世界の若者と雇用』の邦訳が出版される(中島ゆり訳、明石書店刊)。その中で、学校から職業への移行のパターンを4つの類型に分類している。第1グループは学校を離れる年齢が高く、働いている学生が多いタイプで「働きながら年長まで勉強」モデルと呼ばれる。概ね北欧諸国がこれに含まれる。第2グループは学校を離れる年齢が低く、働いている学生が多いタイプで「働きながら勉強」モデルと呼ばれる。概ねアングロサクソン諸国がこれに含まれる。第3グループは学校を離れる年齢が低く、働いている学生働いている学生が少ないタイプで「まず勉強、それから仕事」モデルと呼ばれる。フランスをはじめとする多くのヨーロッパ諸国と韓国、そして日本もここに含まれると考えられている。第4グループは学校を離れる年齢が高く、実習生として働いている学生が多い「実習制度」モデルである。ドイツ人の諸国がこれに含まれる。

 雇用のパフォーマンスがいいのは学習と労働を組み合わせている第1、第2、第4グループの諸国であり、第3グループは若者の就業率が低く、NEET率が高い。働きながら学ぶことが学校から職業への移行を促し、社会とのつながりを失った若者の出現を防ぐというメカニズムがあるからであろう。この点で、近年までの日本はまったく逆説的な存在であった。学習と労働が切り離された第3グループでありながら、若者の雇用パフォーマンスが他の諸国よりも高かったからである。その理由は前訳書で指摘されたように、後期中等教育学校と地域企業との強い連携であった。学習と労働が生徒自身において組み合わさっていないにもかかわらず、学校と企業という組織レベルで密接に組み合わさることによって他のグループ以上の雇用パフォーマンスを上げていた日本が、そのレベルを下げてきたことは、国際比較からすればむしろ例外から本則への復帰とも言うことができよう。

 ところがさらに考えていくと、日本は本当に「まず勉強、それから仕事」タイプであるのか疑わしくなってくる。多くの高校生やとりわけ大学生がかなりの時間を「アルバイト」と呼ばれるパートタイム労働に費やしていることは周知の事実である。現実には相当程度「働きながら勉強」しているのではないのか。ところが、教育界も産業界もそれが存在しないかのごとく振る舞い、あたかも仕事をしてこなかった若者を初めて仕事の世界に送り出すかのように演じて見せているのではないか。本当は既に相当程度学習と労働が学生自身において組み合わされているにもかかわらず、社会がそれを認知しようとしていないだけではないのだろうか

このOECD『世界の若者と雇用』ですが、現在初校を終えたところで、12月には刊行される予定です。

トンデモ若者論の横行するこの日本に、世界標準の若者雇用論がいよいよ登場します。乞う、ご期待です。

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コメント

今、大学では学園祭のシーズンです。
 学園祭では、「お勉強」の成果の発表なんてほとんどなくて、模擬店とか、タレントを呼んできたイベントのような、商売のまねっこをするような企画が大半です。
 模擬店をつつがなく運営し、赤字を出さないようにするためには、それなりの経営センスが要求されます。これも一種の「学習と労働の組み合わせ」と言えるのでは?

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