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2011年11月10日 (木)

海老原嗣生/荻野進介『名著で読み解く 日本人はどのように仕事をしてきたか』

150402海老原嗣生/荻野進介『名著で読み解く 日本人はどのように仕事をしてきたか』をお送りいただきました。ありがとうございます。

・・・・・・

ってのも変ですねえ。

だって、この本、わたくしも共著者の一人なんですから。

http://www.chuko.co.jp/laclef/2011/11/150402.html

>あなたの仕事・給料・能力の来歴を知ろう。戦後「日本人の働き方を変えた」13冊を取り上げ、書評とともに、当時の社会を描く。『職能資格制度』の楠田丘氏、『日本の熟練』の小池和男氏など、名著の著者との往復書簡を通して、カリスマの現在の視点を知る。新しい「働き方」を模索する一冊

そう、この本は、海老原、荻野両氏が選んだ13冊について綴った書評と、それに対する被評者たちの返信からなる、まことに興味深い戦後日本労働史です。

対象となったのは次の13冊。

『日本の経営』ジェームズ・アベグレン

『能力主義管理』日本経営者団体連盟(山田雄一)

『職能資格制度』楠田丘

『日本の熟練』小池和男

『人本主義企業』伊丹敬之

『心理学的経営』大沢武志

『日本の雇用』島田晴雄

『知識創造企業』野中郁次郎・竹内弘高

『人材マネジメント論』高橋俊介

『コンピテンシー人事』太田隆次

『定年破壊』清家篤

『雇用改革の時代』八代尚宏

『新しい労働社会』濱口桂一郎

最後のものについては後述するとして、この中で一番感激ものは、最初のアベグレンさんとの往復書簡でしょう。いまから半世紀以上前に書かれたこの本に対する海老原さんのかなり辛めの書評に対して、今は亡きアベグレンさんが生前応えられたレスポンスは感激ものです。

また、山田雄一さんや楠田丘さんのレスポンスも、年輪を感じさせる味わい深いものです。

ここまではわたくしにとっても「歴史」に属するものですが、学生時代に読んだ次の小池和男さんの本からは、わたくしにとっては同時代的な存在になります。

そして、最後の章に並ぶ清家篤さんや八代尚宏さんの本は、わたくしが労働に関する著述を始めたころにその分野で聳え立つような存在でした。

これらの本を、こういう順番で読んでいくことによって、戦後日本の労働史を語らせるという著者らのたくらみは見事に実現していると言えるでしょう。そのことに異論を唱える人はいないと思います。最後の一冊を除いて・・・。

そう、上で書いた「わたくしも共著者の一人なんですから」っていうのは、不肖わたくしもこれら名著の著者たちと並んで、この本の共著者の驥尾に付しているということなんです

いや、言いたいことは分かります。ちょっと待ってね。

ということで、わたくしの返信は、次のような一節から始まっています。

>まずもって、最初に一言。この本をこのコーナーで取り上げるのはいかがなものか。だって、出たのは2009年、ほんの2年前です。「人事を変えたこの一冊」なんて言われたら、恥ずかしがって逃げちゃいますよ。「濱口本が人事を変えたなんて、トンデモねえ」と、怒り心頭に発する人もいるかも知れません。まあでもそこは、海老原さんもときには個人的趣味で変な本を選ぶんだねということで御納得いただいて、著者からの返信を一筆したためます。・・・

気が済みました?

続きを読みたい人は、

いやそれよりも何よりも、海老原さんと荻野さんのこれら名著に対する書評を読んでみたい方は、是非本屋さんに走ってください。中公新書ラクレですが、装丁が一新されています。

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コメント

aging forum 2011 お疲れ様でした。

熟練労働者の定年と需要不足から来る若年失業の問題をどうバランスよく解決するのかが課題だよなぁと感じております。

非熟練層が増加すれば経営上の問題に直面しそうですし、熟練労働者が残らない場合にもノウハウ等の継承に問題が発生するのではと感じております。

高齢者雇用と若年失業の問題を同時に解決する必要があるのだろうと・・・

いつもありがとうございます。海老原です。
この本、各年代別に「働く」に影響を与えた書籍を並べています。2000年代になると、話題となり社会にインパクトを与えた書はけっこう多いのですが、ただ、精緻な社会メカニズム論としては勇み足な部分が多いため、なかなか掲載に足る本が選べなかったのです。そういう意味で、濱口さんの本が、この時代においては、批判に耐えうる社会論として一番正鵠を射ている、と感じています。これはお世辞でも贔屓目でもございません。

数日前に金子さんのところで書いていた、法社会学についての話を読みながら、「働く」について学問の隙間を埋めていく仕事は、ジャーナリズムにこそ任されているのではないか、と思いました。さらに、ジャーナリズムが、似非アカデミズムやトンデモ流行本のウソを指摘し、本物アカデミズムに日を当てて行かなければならないはず。なのに、最近はその逆。それが困りものですね。

この本の大本には、(似非とはいえませんが)某有名学者の「1940年テーゼ」についてのアイロニーも込めています。そんなテーゼを作ったって、それで万人の働き方が変わるわけはないでしょう。確かにそうした動きがあったかもしれませんが、そこへの反作用や時代的な流れなどが加わり、せめぎ合いがあって、初めて形となった。その、生の姿が表したかったのですが、筆力不足と反省しております。

ありがとうございます。

マシナリさんからも


http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-484.html#comment

「特に§3~5の「振り返り」は、当時の人事、労務政策を知るための一級の解説になっていると思います」と評されていますね。

拙ブログをご紹介いただきありがとうございます。
私のような不精者にとっては、直接原著に当たらなくても、著者と刊行された時代の関係を想像しながら体感できるという点で、本書もまた「名著」の一つだと思います。直接著者とやりとりするために海老原さんと荻野さんがいろいろ気を遣われていることも伺えて、いろいろな意味で勉強になりました。

最後のhamachan先生の返信で
> 労働に関する学問の中心が法律学と経済学になっちゃったからじゃないか、と思うんです。武器としては使い勝手はいいけれども、それだけで労働周りを考えていると、いくつも大事なことが抜け落ちていく。
と指摘されていることも、本書で取り上げられている他の著書の時代性と読み合わせてみるとなるほどと体感できるような気がします。

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