スマイル0円が「ホスピタリティの生産性」?
天下のいんちきりんさんに、山形浩生氏が噛みついていますが、
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20111121(今、日本で最も時代遅れな団体=「経団連」)
>そしてこの分野、日本は圧倒的な競争力があります。アメリカのスタバで、スタッフの態度があまりにあまりなため、ゲンナリしてコーヒーが不味く感じられた経験のある人も多いはずです。にこやかにきびきび対応しても、ムスッとぞんざいに対応しても労働時間は代わりません。けれど「客が感じる価値」は圧倒的に違います。日本は「ホスピタリティの生産性」が非常に高い国なんです。
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20111122/1321955537(日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。)
>日本人は日本の「サービス」がきめ細やかでよいと思っているけど、実際は日本の「サービス」の多くは客には何の意味もない自己満。成田で、地上整備の人が飛行機に手を振らされているのを観たことがあるでしょう。客にとって何の役にもたたないことを「心をこめました」とか言うのが日本の「サービス」。それに感激する人もいる一方で、それを押しつけがましくてうっとうしいと思う人もたくさんいる。このぼくを含め。
そういう批判の仕方もありですが、そもそも、そういう「濃厚サービス」で「生産性が非常に高い」ってホントかよ、という方が、「競争力」云々からして本筋のような。
そう、本ブログで何回も懲りもせず(笑)取り上げてきたテーマですけどね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-107c.html(スマイル0円が諸悪の根源)
>製造業のような物的生産性概念がそもそもあり得ない以上、サービス業も含めた生産性概念は価値生産性、つまりいくらでそのサービスが売れたかによって決まるので、日本のサービス業の生産性が低いというのは、つまりサービスそれ自体である労務の値段が低いということであって、製造業的に頑張れば頑張るほど、生産性は下がる一方です。
>・・・それを裏返すと、消費者天国の日本だから、「スマイル0円」の日本だから、サービスの生産性が異常なまでに低いのです。膨大なサービス労務の投入量に対して、異常なまでに低い価格付けしか社会的にされていないことが、この生産性の低さをもたらしているのです。
>生産性を上げるには、もっと少ないサービス労務投入量に対して、もっと高額の料金を頂くようにするしかありません。ところが、そういう議論はとても少ないのですね。
いんちきりんさんが「ホスピタリティの生産性」って言葉で何を意味しているのかよく分からないところもありますが、少なくとも、彼女が感じた「客が感じる価値」の客観的な付加価値生産性は、日本生産性本部の統計上は大変低いのです。
そんじゃあね。
(参考)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-2546.html(サービスの生産性ってなあに?)
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りふれ派は、デフレは終わらないというが、測定が難しいサービス価格は、実は今、労働の質が低下して、本当は価格が上昇しているのではないか。
パソコンの技術革新による性能向上は、消費者物価指数に反映されるのに、サービス価格の質の低下が物価指数に反映されないのは、統計を所管する日本銀行(卸売物価)や内閣府(消費者物価)の怠慢ではないかと感じる。
りふれ派の高橋洋一氏とかは、数字に強いという評判だが、やり方が、誠実ではないように感じるところ。
投稿: 元リフレ派 | 2011年11月23日 (水) 21時46分