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2011年11月25日 (金)

生活保護提言型仕分けのインプリケーション

新聞等でも取り上げられている去る勤労感謝の日にわざわざぶつけた社会保障関係の提言型仕分けですが、その中でも、生活保護に係るものが、労働政策にも一定のインパクトを与えると思われますので、原資料にもとづいて見ておきましょう。

http://sasshin.go.jp/shiwake/detail/2011-11-23.html#B5-7

ここにいろいろ並んでいますが、そのうち、「B5-6 : 社会保障:生活保護の見直し(生活保護医療の見直し等)」では、支給額、生活保護医療、貧困ビジネスと3つの論点に分けて書かれています。ここでは最初の支給額のところの概要。

>生活保護基準(支給額)については、自立の助長の観点を踏まえ、基礎年金や最低賃金とのバランスを考慮し、就労インセンティブを削がない水準とすべき。社会保障審議会生活保護基準部会においては、こうした方針を反映していただきたい。

あわせて、求職者支援制度などいわゆる第二のセーフティーネットの充実により、生活保護化の防止を図るとともに、NPOや社会企業家などとも連携しつつ、自立・就労支援を強化すべき。また、制度の適正な運営や検証に必要なデータを的確に把握する仕組を整備すること。加えて、稼働可能な受給者については、就労に向けた能力開発や就業紹介を生活保護と一体的に進めるために必要な体制の構築を厚生労働省内及び関係省庁が連携して早急に検討すべき。

と、基本的にはワークフェア的な方向性をかなり強く打ち出しています。

これについての詳細の論点ペーパーが

http://sasshin.go.jp/shiwake/document/be36f9cf-b988-c2b9-98c3-4ecdeb880855.pdf

ここに、各評価者の意見がいろいろと書かれていて、中にはかなり思い切ったものもあります。

●就労可能な低中年層については自立支援型を構築し、生活保護から切り離す。

●就業困難な高齢者には現状の金銭給付の形でよいが、就業可能な世代に対しては、就労支援を中心としたものに重点を置くべき。

●母子世帯、若手単身の就労、自立を支援するため、福祉の観点だけでなく、労働政策として考えるべき。

●若手の支給条件に就労訓練を加える。

●年金や最低賃金よりも生活保護費が高く、医療負担もないことに不公平感をもつ国民が多いなかで、バランスを検討すべし。高額であると継続的な生活保護者に陥ってしまうので、就労にインセンティブを持つ仕組みが必要。トライアル雇用等で就労の喜びを感じさせる。又、トライアル雇用を含めて、生活保護者を雇用した事業者に報奨金を出すなどの方策も有り。生活保護者が納税者になればマイナスがプラスに転じるので、ある程度の財政的インセンティブは問題ない。

●ワークフェア(労働を前提にした給付)を含めて労働と一体化させた生活保護制度の構築。労働には職業訓練以外にボランティア活動を含む。

こういった就労促進的な意見と並んで、生活保護の水準が高すぎるから引下げよという意見も。

●高齢者への給付は基礎年金にその他世帯等(就労可能世帯)の給付は最低賃金に合わせる。

●デフレ経済下の支給額につき、「マクロスライド的」に「実質必要生活費」の額まで減額すべき。

●最低賃金相当の水準より高い支給額とならないようにする。

いままでは、もっぱら労働政策の方で、最低賃金がフルタイムで働いても生活保護に及ばないのはおかしいから、せめてそこまでは引き上げようということで、自公政権末期以来5年近くやってきたわけですが、そろそろその目的だった生活保護の方を基礎年金や最低賃金の方まで下げろという話になってきつつあるようです。

こういう中で、上の赤字の文章中の「求職者支援制度などいわゆる第二のセーフティーネットの充実により、生活保護化の防止を図る」という言葉がかなり重要な意味をもってきます。

既に、平松現大阪市長などが繰り返し主張しているように、求職者支援制度の月10万円ぽっちでは、生活保護から出て行ってくれへん、もっと高い額にせなあかん、という声がありますし、何より、最近下記でも書いたように、職業訓練受講を条件付ける制度であるがゆえに、訓練を受ける気もないのに金が欲しいからとやってくる人をどう断るかという労働政策側の問題意識と、ある意味で真正面からぶつかってしまうのですね。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo110925.html(求職者支援制度のトリレンマ)

>ところが、この職業訓練の受講という条件は、本制度に(生活保障と再就職促進に加えて)職業能力の向上という3つめの目標を持ち込むことでもある。もちろん、アクティベーション戦略においては、職業能力の向上が再就職の促進につながり、生活保障から脱却できることになるはずであるが、制度には常にその裏を掻こうとする者が現れる。訓練を受けている間は毎月10万円がもらえるのなら、金のために受けたくもない訓練を受ける者が出てくる。そういう者が受講者の多くを占めるようになれば、そこに起こるのは一種の「学級崩壊」である。既に基金訓練においてその弊害は指摘されていた。

 このモラルハザードを防ごうとすれば、訓練への入口でその意欲を厳しく判定する必要がある。それは裏返して言えば、本制度のセーフティネットとしての役割を限定するということでもある。ここに、生活保障と就職促進と職業能力向上という本制度の3つの目標がお互いに矛盾し合うトリレンマが存在するのである。

これは、結構大きな問題です。財源が結局一般財源だけでなく、半分雇用保険財源からとなったこととも絡みますね。

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コメント

一刻、職業訓練を受けていたので思うところを
・動機とモチベーションの確認よりも中途のこまめなチェックを行い振り落としを行う
・その上で、半強制的にでも就職先が決まるように(つまり、修了者は全員就職できる)ようにする
上記ができれば給付金目的の輩はすぐにドロップアウトするかと思います。

ただし、引き受ける企業がインセンティブ目的のブラックの可能性があるので、就職後3年間の追跡調査は必要でしょう。

上記、リソース的に難しいかもですが、検討できませんでしょうか。

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