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2011年10月 6日 (木)

西澤晃彦編『労働再審4 周縁労働力の移動と編成』

93713大月書店の岩下結さんより、西澤晃彦編『労働再審4 周縁労働力の移動と編成』をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.otsukishoten.co.jp/book/b93713.html

>低賃金・不安定労働の担い手は、資本の需要のもとに国内外の辺境から吸い寄せられる。空間的な移動という視点により、戦前戦後の出稼ぎや集団就職、「寄せ場」から現代のワーキングプアまでを貫く、特異かつ根源的な労働論。

この労働再審シリーズ、第2巻には私も日本の外国人労働者政策を書いており、他の巻も気になるシリーズです。

今回のは「周縁」マージナルがキーワードで、こういうコンテンツですが、

序章 身体・空間・移動(西澤晃彦)
第1章 グローバル化時代の働き方を考える(丹野清人)
第2章 集団就職の神話を解体する(山口覚)
第3章 温泉観光地の女性出稼ぎ労働者(山口恵子)
第4章 地名なき寄せ場(原口剛)
第5章 工場街と詩(道場親信)

正直言うと、最初の西澤さんのが総論という位置づけなのだと思うのですが、わたくしにはやや抽象的な議論に思え、むしろ次の丹野さんのが日系人労働者というやや狭い視角から論じていながら、とても広がりのある議論を展開していて、全体の総論にふさわしい感じがしました。いや、もちろん、私の狭い感覚からの話ですが。

丹野さんの言う「ジェットコースター賃金」という議論と、うしろの方の原口さんの「社会の総寄せ場化」という議論が、たぶんちょっと次元を異にしながら共鳴しているんだと思います。

ややマニアックな観点からですが、結構面白かったのが山口覚さんの集団就職の章。加瀬和俊氏の本などで常識化されている集団就職についての常識を、実はそうじゃなかったんだよ、と事実発見していくあたりは、労働研究者には興味深いところでしょう。意外にも資料がとても乏しい領域であり、

>・・・筆者はこれまで青森県から沖縄県にいたる各都府県において労働行政資料とともに地方新聞記事を収集してきた・・・

という蓄積の成果になっています。

山口恵子さんの温泉地の特に旅館・ホテルで働く女性出稼ぎ労働者の話も面白いです。

最後の道場さんのは、正直ぴんとこなかった。たぶん、ここに出てくるような詩が波長が合わなかったんでしょう。同じ頃の繊維女工たちの作った労働の歌集なんかは結構波長があったりするので、これはもう波長なんでしょうね。

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