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2011年10月28日 (金)

竹森俊平『国策民営の罠』

168113日本経済新聞出版社の平井さんより、同社から最近刊行された竹森俊平さんの『国策民営の罠 原子力政策に秘められた戦い』をお送りいただきました。

わたくしが本ブログでいつも紹介している本とはいささか違った毛色の本という印象ですが、実は必ずしもそうでもないということがわかります。

竹森さんはいうまでもなく、「りふれは」ではないまっとうなリフレ派経済学者の代表ですが、本書は、ご本人の言葉を借りれば、「一種の推理小説」として書かれています。名探偵竹森俊平が、原子力損害賠償法の「謎」を解き明かすべく、半世紀前の立法過程を丹念に追いかけ、そこに我妻栄を代表とする法学者たちと、水田三喜男を代表とする大蔵省との手に汗握る迫真のドラマを再現してみせるのです。

>なぜ原発事故が起き、賠償支援策が迷走するのか?その原因は、50年前に成立し電力会社の原発推進を決定づけた原子力損害賠償法にあった。
民間企業が起こした原子力事故のリスクを国が肩代わりすることを明確に示そうとした「民法の神様」我妻栄・東大教授と、そこに「あいまいさ」を埋め込もうとした蔵相・水田三喜男、そして原発推進に慎重だった「電力の鬼」松永安左エ門――それぞれの思惑、知的な戦いを追い、同法成立に秘められた政・官・財・学の意思決定力学を、ミステリータッチで解き明かす。

そう、ここには、一部「りふれは」の蟹が甲羅に似せて穴を掘るが如き卑小な陰謀説などではなく、あるべき理念とあるべき理念がぶつかりあう立法過程の見事な分析があります。

法律の条文の一見細かな規定に見えるところに仕込まれたさまざまな意図が半世紀の時を隔てていま東電の問題を動かしているのですね。

(参考)

本書とは直接関係ありませんが、本ブログで竹森俊平さんに触れたエントリとして、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-78d9.html(竹森俊平氏の増税による公共事業論)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-b5a1.html(「りふれは」はなぜ竹森俊平氏を罵倒しないのか?)

また、せっかく本書を読みながら、その一番大事なところを読み飛ばし、自分の矮小な甲羅に似せて書評を書いた人もいるようです。

http://news.livedoor.com/article/detail/5954317/(犯人を間違えた推理小説 - 『国策民営の罠』)

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