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2011年10月21日 (金)

なんともいえない顔

JILPTのコラム、今回は前浦穂高さんの「なんともいえない顔」です。

http://www.jil.go.jp/column/bn/colum0185.htm

はぁ?何の話?

と興味をそそられたら、前浦さんの勝ち。

これは前浦さんが研究者として「事例調査」の重要性を人々に訴えたい!という気持ちがあふれたコラムなんですね。

前浦さんは今年6月に『雇用ポートフォリオ・システムの実態に関する研究―要員管理と総額人件費管理の観点から―』という報告書(http://www.jil.go.jp/institute/reports/2011/0138.htm)を出した新進気鋭の労働研究者ですが、その手法はアンケート調査のような量的調査ではなく、じっくり話を聞き出す事例調査が中心です。

>今回のコラムでは、上記の報告書の基となった事例調査について書くこととした。その理由は、近年丹念な事例調査が少ないと感じるからである。上記の現状が生み出された原因はわからないが、事例調査という調査方法の重要性が失われたわけではない。

事例調査は、取り上げる事例数に限りがあるものの、調査応対者から得られたインタビュー結果と頂いた資料・データを付き合わせながら、事実を1つ1つ確認し、分析課題について、深く掘り下げることができるからである。そうすることによって、事例調査は、制度やその運用実態に至るまでの詳細な分析を行なうとともに、母集団全体にも応用できる可能性がある事柄を抽出し、分析課題に対する結論やインプリケーションを導き出すことができるという利点を持つ。

そうであるならば、現在実施中である事例調査の水準を押し上げるとともに、これから事例調査を試みる研究者が調査をスムーズに行えるよう、事例調査に対する理解を深めることが必要となるはずである。

さて、前浦さんの「聞き取りの作法」は?

「恩師から頂いた言葉(事例調査の心得)を私なりに解釈して説明」といいつつ、語るのは次のような項目です。それぞれにやや詳しい説明がついていますので、是非リンク先へ飛んでお読み下さい。

>1.まずは事例を愛しなさい。

2.事実は都合よく転がってはいない。

3.録音は自分で起こして、自分でまとめる。

4.自分がわかった気になれるかどうか。

5.分析をする際には、冷たく突き放しなさい。

前浦さんの恩師といえば、いうまでもなく社研の中村圭介先生ですが、「まずは愛しなさい」、そして「冷たく突き放しなさい」とは、なんだかプレイボーイのコーチのような・・・。いや、冗談はともかく、事例調査の極意を見事に語っているのでしょう。

最後の一節に、タイトルの「なんともいえない顔」の所以が出てきます。

>最後に大きな疑問が残される。果たして、良い事例調査とはいったいどんな調査であろうか。

恩師曰く、それは調査応対者が原稿を読まれた時に、「なんともいえない顔」をした時なのだそうだ。そのお顔とは、原稿に対して言いたいことはあるけれど、こちらの主張(分析結果)が客観的かつ論理的であるため、何も言えない状態を指す。

私はというと、調査応対者から「自分たちが普段やっていることの意味がわかりました」とか、「なるほど、こうなっているんですね」というお言葉を頂くものの、残念ながら、まだそのお顔に出会ったことはない。

その時がいつ訪れるかはわからないが、そのお顔に出会えることができた時に、恩師から事例調査の免許皆伝を頂けるのではないかと期待している。

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