沢田健太『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』
沢田健太、ってのはペンネームだそうです。「言いたいことを躊躇なく言わせていただ」いた本ということで、「正体をすっかり明かすと各方面に迷惑が掛かる」からだとか。
たしかに、「ぶっちゃけ話」というくだけた感じのタイトルよりも、も少し真剣に今のキャリアセンターの実情を憂えている本ですね。
「イケイケな一般企業勤めを経て大学に、それもキャリア教育の世界へ転身した人間」で「以来、田舎のミニ大学から東京のマンモス大学まで渡り歩いてきた」だけに、この語ることの一つ一つがまことにリアルで、びりびりするくらいです。
その中身は是非本体を読んでいただくとして、本ブログの関心事項との関係では、「あとがきにかえて」で書かれている二つのことが興味を惹きます。ひとつは大学教育の行く末として「アカデミック追求型と職業教育校の二分化」を中途半端に併存させるよりはっきり分けた方が学生も教職員もビジョンを共有しやすいということ。
もう一つは、これはさまざまな意見があるところですが、「就活不要論に私は反対する」と明言している点。
>・・・それと同時に就職活動は、本気働く力を身につける最初の機会だ。本来のグループディスカッションや面接は、ビジネスでいろいろな相手と意見交換することに重なる。アポを取ってOB・OG訪問するのも、飛び込み営業の準備体操のようなものだ。エントリーシート作成は、企画書などの書類作りに通じる。
まんま企業社会で必要とされる仕事を模擬体験できるのが就職活動なのである。だからつらくて、時に理不尽でも、ちゃんと全力で取り組むことは、その後の社会人生活の基礎を形成する凄く重要な体験であると私は言いたいのだ。
バーチャルな情報や、説明会のおかしなショーや、採る側も採られる側もキャッチーな言葉を探しっこしているとか、そう言う点は馬鹿馬鹿しい。しかし、学生が今までやったことがないことを恥を掻きながらやる就職活動の大部分は貴重な勉強である。・・・
まさにキャリアセンターの人ならではの発言で、そのかなりの部分に同感できるものを感じつつも、なんでそれをいまの「就活」というわけの分からない形でやらなければならないのか、という点に、納得できないものを感じさせてしまう、まことに含蓄のある言葉と言うべきでしょう。
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