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« アドバンスニュースで拙著書評 | トップページ | 国家戦略会議の「民間議員」とは? »

2011年10月18日 (火)

じゃぱにいず・びじねすまん

昨日、国内某所で講演。そこで、労働時間の話で質問を受けて、「むかし、「24時間戦えますか?ジャパニーズ・ビジネスマーーン」とかいうCMがありましたよね」と述べたのですが、その帰り、この言葉が妙に気になりました。

そもそも、businessmanとはどういう意味か?

http://eow.alc.co.jp/businessman/

>【名】 実業家{じつぎょうか}【無性語】businessperson

そう、事業を経営する側の人間のことです。経営者に労働基準法は適用されませんから、自分で24時間働こうが、365日働こうが勝手なわけですが、しかし、あのバブル期に、時任三郎が演じた(おそらくヒラの)若手サラリーマンは、いかなる意味でもbusinessmanなどではありえない、労働基準法がフルに適用されているはずのホワイトカラー労働者であったはずですが、CMを作る側も、それを見る側も、誰一人として、それがおかしいとは感じなかったということなのですね。

その意味では、これは拙著でもちらりと触れた「社員」と似た意味の位相にあるのかも知れません。もともと出資者、会社の所有者という意味でしかありえない「社員」が、雇用契約によって労務を提供して報酬を得るだけの債権契約の一方当事者を指す言葉になったのと類比的に、事業を経営する側の人間を指すはずの「ビジネスマン」が、24時間働かされている労働者を24時間自発的に働いているかのように思わせる大変素晴らしい用語として無意識的に活用されたということなのかも知れません。

そして、このbusinessmanとは全く異なる「じゃぱにいず・びじねすまん」が横文字になって、現実の(和製)英文の世界で使われるに至っていることが、この英辞郎の用例を見ていくと、よく分かります。

http://eow.alc.co.jp/businessman/

こういう本来のbusinessmanの用例もありますが、

>Businessman Nabil Hal Hajnaj walked with his wife and sister out of a polling station in the largely Shi'ite Karrada neighborhood.

ビジネスマンのナビル・ハル・ハジナジは、妻と妹と一緒に、カラダ地区の主にシーア派が住む近所の投票所近くを歩いていました。

こういう和製英語も用例も並んでいます。

>A businessman from Fukushima Prefecture recently won the national pumpkin contest, held on Shodoshima Island in Kagawa Prefecture.

福島県の男性会社員がこのほど、香川県の小豆島で行われたカボチャの全国大会で優勝しました

この例文は二重の意味で大変皮肉です。だって、businessman(実業家)を「会社員」という意味で使っているのですが、その「会社員」自体が、商法上では出資者という意味なのですから。だけど、日本人なら誰一人間違わないこの文の意味は、それとはまったく違う位相なんですね。

次の二つの文は、ともにbusinessmanとInternet auctionという言葉を用いた短文であるにもかかわらず、その意味する中身が全く異なるという意味で、大変興味深いものです。

>A businessman in the United States recently auctioned a fighter plane on the Internet.

米国のビジネスマンが先日、戦闘機をインターネット競売に出品しました。

>A businessman was recently arrested for illegally accessing an Internet auction.

先日ある会社員が、インターネット競売に不正にアクセスした罪で逮捕されました

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コメント

これ、何気に「会社は誰のものか」というライブドアの頃に流行った話とも関わってますよね。

欧米的な「会社は社員(株主)のもの」、旧日本的な「会社は社員(従業員)のもの(共同体)」が、価値観と言葉の意味の両方がひっくり返っているから、どちらも"正しく"通るようになっているという。

更にいうと、上記の旧日本的な価値観の先には、旧ユーゴ的な自主管理社会主義があると思いますが、その一方で封建的な身分関係(上司は部下より"偉い"、正社員・腰かけ正社員・非正規社員の"分断" etc)も強烈にあったわけで。

hamachan先生がよくおっしゃる「リベラル」のネジレもそうですが、本当に日本はあっちこっちでこういった奇妙なネジレがたくさん残されてますね・・・

その、ライブドア騒動の時にBLTに書いた小文がこれです(PDFファイルの7ページ目)。

http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/bn/2005-7/p2-p11.pdf">http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/bn/2005-7/p2-p11.pdf(「社員」考)

当時は36協定の上限も緩く、特別協定常時発動でも問題なかったので、24時間働くことは適法でした。現在でも、毎日24時間は違法ですが、1カ月、3カ月、1年の残業時間制限の中に収まるか、特別協定が適用されている状態でその範囲内なら、1日当たりの規制はないので、適法です。

そういう意味で、別に違法ではないですね。
それに、若くても管理監督者の可能性もあります。それなら全く適法で、だれに文句を言われる筋合いもないわけです。

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