『社会労働研究』創刊号
先日、稲葉振一郎さんの話に触発されて、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-dc78.html(社会学部のも一つの源流)
というようなエントリを書きましたが、実は正確に言うと、
>これはこれで大変勉強になる記述ですが、ここには、日本で2番目、私大では最初に作られた法政大学社会学部の話は出てきませんね。
というのは正しくなくて、日本で一番最初にできた「社会学部」という名前の組織は、法政大学社会学部の前身の中央労働学園大学社会学部というべきでした。
さて、法政大学になってからの紀要の『社会労働研究』の創刊号というのを見ると、この「社会学部」というのがほとんど「労働学部」であったことがよく分かります。
>>『社会労働研究』の発刊によす・・・・・・・・・・・総長 大内兵衛
東南アジアの労働運動・・・・・・・・・・・・・・逸見重雄
労働銀行(労働金庫)について・・・・・・・・・・・村山重忠
解雇の「自由」・・・・・・・・・・・・・・・・中島正
社会政策理論の盲点-大河内教授の労働保護立法の理論について・・・・・藤崎英義
国連の安全雇用と失業問題・・・・・・・・角田豊
ボアソナード-日本労働問題への寄与・・・・・・・・小牧近江
木下尚江考・・・・・・・・・・・・・・・・・・村井康男
「米騒動」の第一段階・・・・・・・・長谷川博・増島宏
そして、この創刊号の巻頭近くの「創刊に際して」という短文にも、次のような記述がされています。
>・・・わが学部は中央労働学園大学と呼ばれた新制大学が、法政大学と合併してできた学部であって、社会・労働問題を専攻する学部である。このような学部は、大学多しと雖も、日本ではわが学部以外には存在していない。・・・
>中央労働学園大学は、わが国における労働問題調査研究の先駆的機関「協調会」の後身・中央労働学園の経営するところの大学であった。だから協調会30有余年の歴史を通じて蓄積された約6万冊の内外専門書は、今日なおわが学部の使用に任されており、斯学の研究に志す者のために少なからぬ便宜を与えている。われわれは、平和的民主的日本の建設のために、社会労働問題の研究をもっと学問的に体系のもとに推進する必要があると考えているだけではなく、今日の為政者、実業家、教育者らに本問題についての理解をもっと深めてもらいたいと望んでいる。・・・
半世紀以上前の言葉とは思えないほど、今日にも通用する言葉があったりしますね。
>・・・われわれは、現実に即した科学的研究の立場と実証的研究の態度を高持する考えである。抽象的な空理空論をもてあそぶことは我々の採らざるところである。・・・
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» 連合大学院?労働運動は労働者の海で学ぶべき [シジフォス]
この話題を何回か取り上げているが、どうやら具体的になってきたようで、河添 誠 さんもツイッターで時事通信の記事「大学院コースを計画=労働団体の指導者育成―連合」 http://ow.ly/aIGel をとりあげながら「学生の社会運動への参加が増えて、大学院で教育・研究が進むことは歓迎。これを社会運動的な労働運動につなげられるかどうか。ただ、大学院を作っただけでは無理。社会運動への参加を。」とコメントしている。…しかし、個人的には、もっと議論されて然るべきだと感じている。これまで続けてきた「...... [続きを読む]
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