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2011年9月 4日 (日)

政官民で「国家戦略会議」 首相方針、経済財政の司令塔に

本日の日経から。

http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9693819481E2E1E2E3E08DE2E1E2EBE0E2E3E39F9FEAE2E2E3?n_cid=DSANY001

>野田佳彦首相は3日、新内閣の経済財政運営の目玉として首相直轄の「国家戦略会議(仮称)」を新設する方針を固めた。野田首相を議長に、関係閣僚、日銀、経済界、労働界などの首脳らがそろって参加。経済財政運営の司令塔となり、予算編成や税制改正、社会保障改革など日本が抱える重要課題で基本方針を示す。小泉内閣時代の経済財政諮問会議をモデルに政官民が知恵を集めて日本経済を再生する体制をめざす。

 「国家戦略会議」のメンバーは、首相、古川元久経済財政・国家戦略相、安住淳財務相ら関係閣僚、白川方明・日銀総裁、米倉弘昌・経団連会長、古賀伸明・連合会長ら。学者や企業経営者も参加する見通しだ。同会議は定期的に開催する。

ようやく、わたくしが2年前、民主党政権が出来たときに言っていたことが、実現することになるようです。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/minshu.htm(労働政策:民主党政権の課題(『現代の理論』2009年秋号))

>最後に、民主党政権の最大の目玉として打ち出されている「政治主導」について、一点釘を刺しておきたい。政権構想では「官邸機能を強化し、総理直属の「国家戦略局」を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する」としている。これは、小泉内閣における経済財政諮問会議の位置づけに似ている。

 政治主導自体はいい。しかしながら、小泉内閣の経済財政諮問会議や規制改革会議が、労働者の利益に関わる問題を労働者の代表を排除した形で一方的に推し進め、そのことが強い批判を浴びたことを忘れるべきではない。総選挙で圧倒的多数を得たことがすべてを正当化するのであれば、小泉政権の労働排除政策を批判することはできない。この理は民主党政権といえどもまったく同じである。

 労働者に関わる政策は、使用者と労働者の代表が関与する形で決定されなければならない。これは国際労働機構(ILO)の掲げる大原則である。政官業の癒着を排除せよということと、世界標準たる政労使三者構成原則を否定することとはまったく別のことだ。政治主導というのであれば、その意思決定の中枢に労使の代表をきちんと参加させることが必要である

「せーじしゅどー」という名の2年間の遠回りを経て、ようやく労使が政策決定の中枢に参加する仕組みを作る必要に目覚めたわけですね。

2年前に出版した拙著『新しい労働社会』の一番最後のところでも、この問題を取り上げております。

>現在、厚生労働省の労働政策審議会がその機能を担う機関として位置づけられていますが、政府の中枢には三者構成原則が組み込まれているわけではありません。そのため、経済財政諮問会議や規制改革会議が政府全体の方針を決定したあとで、それを実行するだけという状況が一般化し、労働側が不満を募らせるという事態になったのです。これに対し、経済財政諮問会議や規制改革会議を廃止せよという意見が政治家から出されていますが、むしろこういったマクロな政策決定の場に利害関係者の代表を送り出すことによってステークホルダー民主主義を確立していく方向こそが目指されるべきではないでしょうか。 

たとえば、現在経済財政諮問会議には民間議員として経済界の代表二人と経済学者二人のみが参加していますが、これはステークホルダーの均衡という観点からは大変いびつです。これに加えて、労働者代表と消費者代表を一人づつ参加させ、その間の真剣な議論を通じて日本の社会経済政策を立案していくことが考えられます。それは、選挙で勝利したという政治家のカリスマに依存して、特定の学識者のみが政策立案に関与するといった「哲人政治」に比べて、民主主義的正統性を有するだけでなく、ポピュリズムに走る恐れがないという点でもより望ましいものであるように思われます。

(追記)

finalventさんは「極東ブログ」で、

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/09/post-8a53.html(野田内閣の「国家戦略会議」は小泉内閣の「経済財政諮問会議」のふざけた焼き直し)

と言われていますが、いやまあ、2年間の「せーじしゅどー」を思えば「ふざけた焼き直し」と言いたい気持ちも分からなくはないですが、ここはやはり、自民党政権時代には入っていなかった労働者代表がきちんと入り、ヨーロッパ型の労使コーポラティズムに近付いたことを、評価するという立場にもご理解をいただきたいところです。

わたくしとしては、とりあえずこの一点において、野田どぜう店にまず一票。

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