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2011年9月24日 (土)

書評:清水耕一『労働時間の政治経済学』

652『大原社会問題研究所雑誌』2011年8月号が、同研究所のHPにアップされましたので、わたくしが書いた書評をリンクしておきます。

http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/634/634-06.pdf

書評先は、清水耕一さんの『労働時間の政治経済学――フランスにおけるワークシェアリングの試み』(名古屋大学出版会)です。

中身の紹介に入る前の前説的なところと、本論を終えた後の後説的なところだけを、こちらに引用しておきますが、いうまでもなくその間の部分が本論ですのでお間違えなく。

>本書は『労働時間の政治経済学フランスにおけるワークシェアリングの試み』と題されている。実際,本書の帯には大きな字で「ワークシェアリングは成功したのか」と書かれているので,本書が雇用創出政策としてのワークシェアリングに焦点を当てた研究書であると受け取る人がほとんどであろう。確かに,読み始めはそういう雰囲気が濃厚である。

 ところが,400ページ近い本書を読み進めていくうちに,そのような問題意識はどんどん薄れていくのに気がつく。そして読み終えた頃,この本にふさわしいタイトルを聴かれたら,『労使関係の政治経済学フランスにおけるフレクシビリティの試み』と答えたくなっている。

 そう,本書は,ワークシェアリングを目指したつもりが(それはどこかに行ってしまい)フレクシビリティの促進策になった政策,労働時間の在り方を変える政策を遂行したつもりが(それを超えて)労使関係の在り方を変える政策としてフランスの労働社会に影響を及ぼした政策の,その政治的アイロニーまで含めて詳細に分析した作品となっている。それがどこまで著者の意図したものであるかは別として。

 ・・・・・・・・・・・・・

>はじめに書いたように,本書がそのタイトルにもかかわらず描き出してしまったのは,労働時間法制をダシにしたフランス型労使関係システム転換の姿であった。その観点から日本への含意を考えると,二重の意味のねじれが見いだせるのではないか。まず,週40時間制への移行に伴い導入された各種変形労働時間制や裁量労働制などが過半数代表との協定を要件とする形で,いや,そもそも終戦直後に制定された労働基準法が時間外・休日労働に36協定を要件とする形で,フランスと同じように労働時間法制をダシにして労使関係システムを動かそうとする契機を有していたにもかかわらず,そのような転換が全く起こらなかった,という点である。そしてその根底にあるのは,フランスで(労働時間法制をダシにして)追求された目的が,もともと企業内に足場を持たなかったフランスの労働組合に企業内における交渉主体としての地位を確保することであったのに対して,日本の労働組合はもともと企業内にしか足場を持たず,それゆえその利害が雇用の維持確保に偏り,実労働時間の短縮や仕事と生活の調和といったことが建前論の次元でしか受け取られてこなかったため,労働時間法制がダシにすらなり得なかったという点であろう。

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