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« X運輸事件 高年齢者継続雇用と労働条件の不利益変更、同一労働同一賃金原則 | トップページ | 神聖同盟異聞 »

2011年9月15日 (木)

今後のパートタイム労働対策に関する研究会報告書

とか何とか言ってる間に、パート研は報告書を出してしまいましたよ。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001on6w.html

概要版の方から、関心を引きそうなところをいくつか引用してみましょう。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001on6w-att/2r9852000001opo9.pdf

まず、8条の差別禁止についてですが。

>○ パートタイム労働法第8条の3要件の在り方については、「職務の内容が同一であること」の要件のみでよいのではないかという意見、「人材活用の仕組み・運用等が同一であること」との要件のみでよいのではないかという意見、賃金制度の違いを考慮せず、すべての事業主に対し、一律に3要件を適用していることが問題ではないかとの意見もあった。
さらに、今後のパートタイム労働法の見直しに当たり、第8条の規定を活用したパートタイム労働者の雇用管理の改善の実効を上げていくためには、その適用範囲を広げていくことを検討すべきであり、その際には、第8条の3要件が、企業のネガティブ・チェックリストとして機能しているのではないかとの懸念及び事業所における賃金制度が多様であることに対応する観点から、事業主はパートタイム労働者であることを理由として、合理的な理由なく不利益な取扱いをしてはならないとする法制を採ることが適当ではないかとの意見もあった。

○ この点に関し、労使双方にとり予測可能性を確保するために、「合理的な理由」の考慮要素となり得るものについて、一定の例をガイドラインで示すこととし、行政指導等による履行確保の際に利用するとともに、司法手続で参考とされることを期待することが適当ではないかとの意見もあった。
この場合に、EU諸国において、「合理的な理由」として、雇用形態に係る不利益取扱い禁止原則においては、勤続年数、学歴、資格、職業格付け等、「同一(価値)労働同一賃金原則」においては、労働時間や就業場所の変更にどれだけ対応できるかという点やキャリアコースなどが考慮されていることを踏まえると、日本の雇用システムでの「合理的な理由」の考慮要素の例としても、諸外国の例を参考に、幅広く考えられるのではないかとの意見があった。

「意見があった」「意見があった」と言ってるだけで、何をしようというのかよく分からんという風にも読めますが、よく読むと、「事業主はパートタイム労働者であることを理由として、合理的な理由なく不利益な取扱いをしてはならない」と規定し、その「合理的な理由」は大臣指針で示し、その中身もこういうものにするという趣旨のようにも読めます。

この合理的な理由としてあげられているものは、先日までわたくしも入って議論していた「雇用形態による均等処遇についての研究会」の報告書で書かれたものとほぼ同じイメージですね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-8e1c.html

フルタイム有期契約労働者についても、

>このため、パートタイム労働者と同様に雇用管理の改善が必要であるフルタイム有期契約労働者について、実質的に期間の定めがないとみられるものを含め、パートタイム労働法の適用対象の拡大の可否という視点から検討することが重要であると考えられ、有期労働契約の在り方に関する議論を見極めつつ、検討する必要があると考えられる。

と述べています。ここは、今審議会に移って議論している基準局サイドの有期契約法制との仕分けが問題になるところですが、基準サイドはもっぱら入口規制、出口規制の問題でがっぷり四つの状態のようなので、均等問題まで手が回りかねるということなのでしょうか。

一部に大変期待の高い職務分析については、

>○ 職務分析・職務評価の専門家に対するヒアリングの中で、職務評価を実施することにより、通常の労働者とパートタイム労働者のそれぞれの職務評価点が明らかになり、職務評価点に見合った賃金を計算することができ、その差に応じた賃金を支払うことができるとの見解が示された。ただし、職務評価は、単一の賃金体系を企業に要請するものではなく、また、企業にとっての職務の序列を決めるものであり、職務評価点に比例して賃金の水準を一律に決めるというものではない。
ヒアリングの中で、そもそも賃金体系は、職務給、職能給、成果給、属人給等の組合せになっており、職務評価の結果は賃金のすべてを決定するものではないとの意見があった一方で、職務評価のプロセスを企業内で明示することにより、使用者の重視する価値を労使で共有することを契機に、待遇についての議論が進むことが期待されるとの意見もあった。

 ○ 職務評価の特性等を踏まえると、中小規模の企業を含めた事業主に広範に職務分析・職務評価を義務付けることは困難であり、むしろ、事業主が、その雇用管理の在り方やパートタイム労働者のニーズ等の実情に合わせて、職務評価制度を導入し、労使間で職務評価のプロセス及び結果を共有し、これを踏まえ通常の労働者とパートタイム労働者との間の待遇について議論を進めることを促していくことが一つの方向性として考えられる。
このため、事業主が定めるパートタイム労働者の雇用管理の改善等のための行動計画で、職務評価を具体的な取組のメニューの一つとして位置付けることが考えられる。
また、現在、厚生労働省において作成している職務分析・職務評価実施マニュアルについては、より複雑な要素別点数法に基づくマニュアルを作成して事業主に提供することにより、そのニーズに応じた活用を促していく必要があると考えられる

と、若干のリップサービスを伴いつつ、あんまり暖かい感じではなさそうです。

実際、アメリカ型の職務分析をいきなり持ち込んで何か意味のあることが出来るかというと、たぶんあんまり実のある結果にはならないでしょうし。

次の「待遇の納得性」の話が、読んでいくといつの間にか集団的労使関係システムの話になっているあたりも、なかなか面白いです。

>○ パートタイム労働者が説明を求め易くする方策を考えると、現行の規定に加えて、例えば、現在、パートタイム労働指針において規定されている、パートタイム労働者が、事業主に対し、待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由とする不利益取扱いの禁止を法律に規定することが考えられる。

○ 一方、パートタイム労働者からの求めにかかわらず、パートタイム労働者に対し、待遇の決定に当たって考慮した事項について説明することを、事業主に義務付けることも考えられる。しかしながら、これに関しては、一律の規制を設けることよりも、むしろ、事業所ごとの実情に応じ、柔軟なコミュニケーションを集団的労使関係の中で行うことができるような枠組みを設けることの方が重要であるとの意見があった。
パートタイム労働者について、労働組合への組織率は近年上昇傾向にあるものの、特に、業種によっては必ずしもパートタイム労働者の意見が十分反映され得る状況にはないと考えられることから、事業所内における集団的労使関係の在り方について考慮する必要があり、ドイツやフランスの制度を参考に、事業主、通常の労働者及びパートタイム労働者を構成員とし、パートタイム労働者の待遇等について協議することを目的とする労使委員会を設置することが適当ではないかとの考え方がある。
ただし、日本では、一般的には労使委員会の枠組みは構築されていないことから、パートタイム労働者についてのみ同制度を構築することに関して検討が必要となろう。

非正規労働問題を解決する一つの道筋として集団的労使関係に注目すべきというのは、拙著『新しい労働社会』でも強調した点であるわけですが、さりげにこういう形で顔を出していますね。

あとちょっと飛んで、やはりこれでしょう。「勤務地限定」、「職種限定」の無期労働契約。

>○ 「勤務地限定」、「職種限定」の無期契約労働者については、勤務地や職種が限定されていることを志向するパートタイム労働者のニーズに対応し、かつ、無期労働契約となることから、パートタイム労働者の雇用が安定すると考えられる一方で、事業所の閉鎖や職種の廃止の際の雇用保障の在り方について整理が必要と指摘されており、今後、関連判例の内容の整理が必要であると考えられる。

○ また、事業主がパートタイム労働者に対し、「勤務地限定」等の無期契約労働者の選択肢を提示する場合には、その旨を十分に説明するよう義務付ける必要があるのではないかとの意見や、パートタイム労働者にとって、現行の転換措置の水準を切り下げないようにするためには、キャリアアップの観点から、「勤務地限定」等の無期契約労働者に対し、教育訓練等の支援を行うことが必要ではないかとの意見があった。

「ジョブ型正社員」です。

さて、最後の方に、「フルタイム無期契約労働者の取扱い」というのがあります。何が問題になっているか分かりますか?

>○ 有期労働契約の在り方についての検討でも、パートタイム労働法でも、フルタイム無期契約労働者については、保護の対象から外れるものであるため、今後、その実態を踏まえ、何らかの保護が図られるよう検討すべきであるとの意見があった。

いや、これでもやはりよく分からない。では注を。

>無期契約であるが、長期的な観点からキャリア形成を含めた待遇が決定されていない労働者であって、通常の労働者を除く。

たぶん、POSSE流には周辺的正社員とかいうのかも知れませんが、でも実は、それが民法や労働基準法が想定するふつうのフルタイム無期契約労働者なんですけれどもね。それが「保護の対象から外れる」というのも、よく考えると、なんだかよく分からないところではあります。パート法が日本型正社員をモデルに拵えあげた「通常の労働者」という概念が、通常じゃないのですよ。

海老原嗣生さんは近著で、日本の正社員(パート法でいう「通常の労働者」)ってのは、フランスのカードルに当たると喝破してますけどね。

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