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2011年9月 1日 (木)

実の政治軸、虚の政治軸

Book32 生活経済政策研究所より、小冊子『15周年記念シンポジウム ポスト3.11の構想-日本の政治と社会-』をお送りいただきました。

http://www.seikatsuken.or.jp/publish/books/book032.html

去る6月4日に行われたシンポジウムの記録ということで、次のような方々が発言しています。

シンポジウム第1部 政治

・はじめに 大沢真理/コーディネーター、東京大学社会科学研究所教授
・パネリストからの発題
・現場力と根源的な政治 住沢博紀/日本女子大学家政学部家政経済学科教授
・生活第一のゆらぎ 宮本太郎/北海道大学大学院法学研究科教授
・リスク国家日本 山口二郎/北海道大学大学院法学研究科教授
・第1部質疑討論

シンポジウム第2部 社会と労働

・社会的脆弱性
・パネリストからの発題
・再生可能エネルギーの促進 アンドリュー・デヴィット/立教大学経済学部教授
・労働法転換の要因 浅倉むつ子/早稲田大学大学院法務研究科教授
・自然災害の歴史 駒村康平/慶應義塾大学経済学部教授
・第2部質疑討論

まあ、おなじみの方々ですが、ここでは前半の政治のところから、住沢さんと宮本さんの発言を若干引用しておきます。

昨今の「りふれは」問題を始めとするさまざまな問題の根っこが、ここで語られているように思うからです。

>住沢 ・・・しかし、現実の政治が動いているのは、この図でいう「実の政治軸」ではなくて、むしろ「虚の政治軸」。思いつきの政治と、もう一方ですごくイデオロギッシュな、国家のリーダーシップがいるだとか、挙国一致内閣がいるだとか、そういう危機管理国家のイメージです。実際にやっている議論は、横軸の「虚の政治軸」で動いているわけです。

菅さんが思いつきの政治ということで批判を浴びております。菅さんに限らず、この間、橋下大阪府知事、河村名古屋市長を含めて、「ポピュリスト」と政治学でいいますけれども、大衆を扇動して、大衆に迎合していくような政治のスタイル、これは今回の地方選挙で大きな成果を挙げました。この人たちの政治スタイルは何なのだろうか。菅さんはおそらく、主観的には、今回の再生可能エネルギーの買い上げの話にしても、市民感覚で現場主義に近いと思っているかも知れませんが、冷静に見れば橋下さんとか河村さんと同じような系列になってしまっています。

その特徴は何かといいますと二つありまして、一つは、政策を自分の政治家のキャラクターと一緒にしてしまう。自分の個性を前面に出して、何度も宣伝して、「私はこれにこだわっているんだ」と。・・・もう一つは、その政策自身の敵を作る。誰が仮想的な敵か。誰が反対勢力か。敵を作っていく。こういう構造によって非常にわかりやすい政治を作っている。

>・・・私としてはそういう現在の「虚の政治軸」をもう一度「実の政治軸」に戻していきたいと思っております。

宮本さんの次の言葉は、そういう「虚の政治軸」を振り回す人々が、どういうやり方をしてきているかをよく示しています。

>宮本 ・・・ところが、今そのアクティベーションの視点に立った社会保障と税の一体改革に関しては、民主党の中の調査会の議論を見てみると、残念ながら、デフレのさなかでこんなことできないとか、震災の影響があるとかいう話もありますけれど、増税という旗は掲げたくないという議論ばかりが目につく。むしろ有権者の方が「きちっと使ってくれるならば、今は増税やむなしではないか」と、そういう世論がこれだけ高まっているときに、そこから逃げまどっているところがある。その水脈もかなり危機に瀕しているということになっているのだろうと思います

まことに、逃げまどう政治家も最低なら、そういう風に扇動するインチキ評論家も最低です。

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権丈先生のおっしゃる「得票数最大化行動」ですな…

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