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2011年9月26日 (月)

今野晴貴+川村遼平『ブラック企業に負けない』

12319 POSSEのお二人、今野晴貴さんと川村遼平さんの共著『ブラック企業に負けない』(旬報社)をお送りいただきました。

http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/708

最近流行の若者向け労働法本といっても、これは大部様子が違います。POSSEが今まで受けてきた労働相談をもとに、ブラック企業の手口とその対処法を紹介している、若者の若者による若者のための本と言えるでしょう。

やや長いですが、今野さんの「はじめに」が格調高いです。

>「はたして正社員で就職すれば本当に安心なのか?」。「ブラック企業」という問題が世に問うているのは、この一言である。二〇〇〇年代は若者にとって苦難の時代であった。就職ができず、ハケンやケイヤクといった非正規雇用になる若者が急激に増加し、大きな社会問題になった。

  非正社員にひとたびなれば、正社員になることは難しく、低賃金・不安定な仕事に一生従事するしかないと言われる。学校現場では正社員と非正社員の生涯給与のグラフを作成し、「フリーターになるとこんなに損をする」と迫る、脅迫型の教育が広がった。だが、望めば誰でも正社員になれるわけではない。就職活動による競争は苛烈となり、正社員に就職することは若者の悲願となった。

  「ブラック企業」の恐ろしさは、この背景を踏まえれば十分わかるだろう。この言葉は、今度は正社員の中身が劣化し、若者に襲いかかってきていることを警告しているのである。

  私は二〇〇六年、法学部在学中に、若者の労働相談を受けるNPO法人「POSSE」(ポッセ)を立ち上げた。法律や制度の活用によって、今の若者の状況を少しでも改善できないかと考えたからだ。以来、一〇〇〇件を超える労働相談にかかわってきた。これらのなかで見えてきたことは、正社員の若者からの労働相談は非正規雇用のそれに負けず劣らず深刻だという事実である。

  競争に勝ったはずの若者が、実は使い捨てられている。正社員の雇用は昔のように安定したものではなくなっているのだ。非正規雇用か正社員かを迫る競争は、「何でもいいから正社員にならなければいけない」と若者を追い込んでいる。こうした若者の気持ちを逆手にとって、きわめて劣悪な「正社員」雇用を活用する企業が珍しくなくなった。わらにもすがる思いで就職した先で、異常なまでにきつい労働に従事させられる現実がある。次々に鬱病にかかり、自殺者も増加している。

  ブラック企業問題とは、すぐれて「正社員の問題」である。就職活動に勝ち抜いた若者が、今度はその先で行き場を失っている。「自分が内定をもらった企業はブラック企業ではないか」と心配し、私たちのところに相談に来ることも珍しくない。だが、ブラック企業はどんなに見分けても、必ずしも避けられるものではない。就職先が限られているうえに、ブラック企業の割合が大きすぎるのだ。

  本書はPOSSEがこれまで受けてきた労働相談を元に、正社員にはどんなトラブルが待ち受けているのか、そして正社員になったあとの若者のキャリアをどのように守ることができるのかを考えていく。ブラック企業には「入った後」が肝心なのである。対応を誤ると、病気にされ、使い捨てにされ、キャリアを棒に振ってしまいかねない。

  POSSEはこれまで受けてきた労働相談からは、「ブラック企業」が共通の違法行為のパターンを持っていることがうかがわれ、業界での「常識」を形成していることが疑われる。

  POSSEでは、これらの相談に若い大学生や社会人が当たってきた。一人ひとりの相談に対して、できるだけの解決を模索してきた。本書で紹介するブラック企業の手口とその対処法、考え方は、まさに同世代の若者が、自分たちの問題として雇用問題に向き合ってきた経験である。ぜひ多くの方と共有し、若者のキャリアを守る一助となれば幸いである。  

                               今野晴貴

目次は以下の通りですが、

1 ブラック企業の人間破壊システム
2 ブラック・パターン
 ① 入社後の選別競争 
 ② 残業代を払わない 
 ③ 月収を誇張する裏ワザ 
 ④ 新卒労働者の「使い捨て」 
 ⑤ 退職時の嫌がらせ 
 ⑥ 戦略的パワハラ 
 ⑦ 職場崩壊 
3 ブラック企業に負けない就職活動
4 ブラック企業に負けない「合言葉」
 ① 会社の言うことがすべてではない!
 ② あきらめない!自分を責めない! 
 ③ おかしい・つらいと感じたら専門家に相談する!
 ④ 証拠・記録を残す! 
5 ブラック企業への対処術
 ① 適当な「選別」をされたら 
 ② 賃金がきちんと支払われなかったら 
 ③ 「固定残業代」の職場に入ったら 
 ④ 「使い捨て」されてしまう前に 
 ⑤ 退職時の嫌がらせに遭ったら 
 ⑥ 戦略的パワハラのかわし方 
 ⑦ 制度をおさえておく 
6 ブラック企業発生の背景 
 1 労働市場の変化―第一の要因 
 2「年功的職場秩序」の崩壊―第二の要因 
 3 ブラック企業の弊害と必要な政策・取り組み 

コラム
 民事的殺人 
 過労死やうつ病の増加
 奨学金とブラック企業 
 契約には「守らなくていいもの」がある

ここでは詳しい目次が書かれていない第3章の「ブラック企業に負けない就職活動」が必読です。

>違法行為を若者が受け入れてしまう巧妙な仕掛けが日本独特の就職活動の仕組みの中にある。・・・

>・・・言ってしまえば、「どんなに違法なことでも耐えるのが当然」という信条を植え付ける作用を持っているのだ。

>最近流行のキャリアカウンセラーもこうした流れに一役買っている。学生に「自分が悪い」ことを認めさせ、心理学的手法を用いて精神をコントロールする。・・・

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