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2011年9月12日 (月)

古川景一・川口美貴『労働協約と地域的拡張適用-UIゼンセン同盟の実践と理論的考察』

古川景一・川口美貴ご夫妻より、大著『労働協約と地域的拡張適用-UIゼンセン同盟の実践と理論的考察』(信山社)をお送りいただきました。

これはすごい本です。お二人の「再構築」論文シリーズの一環として緻密な議論を展開しているところも膨大ですが、そういう労働法学界の枠を超えて、労使関係に関心を持つすべての人が読むべき労使関係論のモノグラフでもあります。

本書でケーススタディとして取り上げられているのは、1970年代末に、愛知県の尾西地方で行われたゼンセン同盟による週休二日制の労働協約の地域的拡張適用の事例です。終戦直後に規定ができてから、企業内組合主流の中でほとんど使われることのないままであったこの規定をフルに活用した事例は、大変スリリングで、是非労使関係に関わる多くの方に読まれる値打ちがあります(後半の労働法理論的分析は斜め読みでも)。

この地域的拡張適用を現場で進めたのは、当時ゼンセン同盟愛知県支部一宮出張所長だった二宮誠さんで、彼がその詳細な事件記録を保管していたのを、著者らが知り、借り出して検討した結果ということです。

二宮誠さんといえば、ゼンセンきってのオルガナイザーとして有名ですが、その若き日の活躍の記録が、こうして労働法研究の素材として役立てられるというのもいい話ではあります。

企業を超えた地域レベルの労働条件設定という本来の労働組合法の精神を伝えるはずの地域的拡張適用が、規定はあれども誰も使わず、という状況にある現在、本書の意味は大変大きいものがあるでしょう。

この二宮さんのやった30年前の事例は地場の中小企業に週休二日制を広げる目的でしたが、今現在これが意味がある課題は何か?という問いには、実は「はしがき」がヒントを書いています。

>・・・この準備作業の開始後、筆者は、2010年の初夏に、ある産別組織から、業務終了後次の業務開始までの休息期間について、東日本の複数県にまたがる企業横断的な業種別の最低基準を定める労働協約を締結し、この労働協約を当該地域の同種の未組織労働者とその使用者全体に拡張適用して、企業間競争力の格差が生じないようにしたいとの相談を受けた。・・・

>本書執筆の重要な景気の一つとなった東日本における労働協約の地域的拡張適用の模索は、本年3月11日に発生した東日本大震災のために、中断を余儀なくされている。しかし、いずれ、復旧・復興が進むにつれて、地域的拡張適用の模索が再開されるであろう。その日が一日も早く到来し、本書が具体的に活用される日が来ることを心より願うものである。

休息期間(勤務間インターバル)規制こそ、次の地域的拡張適用のテーマなのです。

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