君、まだ党員じゃないのか、それはだめじゃないか
『中央労働時報』9月号は、凄いのが載ってます。
「シリーズ この人に聴く労使関係・第5回」は、元中央労働委員会会長・元成蹊大学教授の萩沢清彦さん。既にお亡くなりになっている萩沢先生のこのオーラル・ヒストリーが凄い。この肩書きから想像されるようなただの学者先生ではありません。
終戦直後の時期に、東大法学部卒業後、「小遣い稼ぎ」に嘱託として産別会議事務局に入り、細谷松太氏について新産別に移り、その後労働弁護士として活躍し、さらに成蹊大学で民事訴訟法を教えながら、労働法の大家として中労委会長になる。中労委会長というのはよほど労使双方の信頼を勝ち得ていなければ難しい仕事です。まことに仁田先生の解題にあるように、「波瀾万丈」。テレビで毎週やってる普通クラスの波瀾万丈とは、波瀾万丈ぶりが違う波瀾万丈です。
これはもう是非、図書館辺りででも目を通して欲しいのですが、とりわけ、この一節。当時の文献なんかを読むと、大体そうだろうなあ、と想像されることですけど、近代史の一断面がさらりと語られていますね。
>私が産別会議の事務局にいてびっくりしたのは、産別会議の事務局と共産党との区別が全くないということでした。事務局会議を開こうが何をしようが、共産党の連中が来ておおっぴらに発言をします。方針は全部共産党で決めた方針を押しつけられるだけのことでした。そこで、私はあるとき、嘱託の時代ですが、組織部の先輩に、「こんなことでいいんですか。私は共産党員でも何でもないのに、共産党の会議にこうやってのこのこ出ていていいんですか」と聞いたことがあります。そしたら、その人が目を丸くしまして、「君、まだ党員じゃないのか、それはだめじゃないか」と、いきなり言われました。
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