『POSSE』12号から編集部Aさんの名言
先日来紹介している『POSSE』12号。本日は、外部執筆者(講演者)ではなく、「本誌編集部」というネームで載っている鼎談「復興特区と原発事故以降の農漁業をどうするか」から、その中のAさんの発言を。
>・・・結局、戦後の日本社会は、よく規制まみれだとか言われますが、市場に対して個人の生活やコミュニティなどと保障するためのソーシャルな規制はあまりなかったと思うんですね。むしろ、私的な権利が歪んで重宝され、無秩序な農地の転用に見られるように、「自分の土地だから何をやってもいい」みたいな風潮を、企業においても個人においても生んでしまっている気がします。土地を管理するための規制も弱ければ、個人がそういう思想に走らないために、市場にとらわれずに生活が保障されるような社会保障もなかった。個人個人がバラバラに分断され、補助金で市場を媒介して、垂直的に社会に統合されるイメージです。
Aさんがそういう考える根拠になるような事例は、この鼎談でいろいろ語られているので、是非お読みいただきたいですが、それ以上に、この一節は、戦後日本のありようを実によく表現しているように思われます。
戦後日本で「ソーシャル」な規制が後ろに隠れてしまい、「規制」というのはもっぱらエコノミックな規制と意識され、(農地取得の規制のように)一部の者が利権を維持するためのものだからことごとく叩き潰すべしというような発想が、とりわけ安直な政治関係者に満ちあふれるようになった所以も、その辺にありそうな気がします。
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