労働者階級の指導する労農同盟を基礎とした人民民主主義独裁の社会主義国家
たぶん、この記事を読んだ人の誰も何の違和感も感じないでしょうし、一片の皮肉さえ感じることはないのでしょうけど、
>【北京=共同】世界最大の米国債保有国、中国は今回の格下げで「国際金融市場が混乱し中国は大きな影響を受ける」(エコノミスト)と強く非難した。国営通信新華社は米国の財政政策を批判し「米ドルを国際的に監視する必要がある」と主張、債務問題解決のため軍事費削減まで要求する評論記事を配信した。
中国の米国債保有高は5月時点で1兆1600億ドル(約90兆円)。3兆ドルを超える世界最大の外貨準備の多くを米国債の購入に充てている。
新華社は「中国は最大の債権者として、米国に構造的な債務問題への対処と中国のドル資産の安全確保を要求する当然の権利がある」と強調。米国は「借金依存症」を改めるべきだとし「巨額の軍事費と社会保障費を削減しなければ、国債のさらなる格下げを招く」と警告した。
社会主義国のはずの中国が資本主義の総本山のアメリカに対して、社会保障費の削減を説教する、という事態が、あまりにも素直に入ってきて、何の違和感も感じないのでなぜなのでしょうか・・・などと、今更のごとくかまととぶった物言いも白々しいものがありますが。
高速鉄道の乗客の安全確保よりも、アメリカに対してドル資産の安全確保を要求するブルジョワ的権利を基礎づけている中華人民共和国憲法なるものを読み直してみると、改めて大変面白い読み物であると感じます。
>第一条 中华人民共和国是工人阶级领导的、以工农联盟为基础的人民民主专政的社会主义国家。
中華人民共和国は、労働者階級の指導する労農同盟を基礎とした人民民主主義独裁の社会主義国家である。
(ニュース深読み(のし過ぎ))
http://twitter.com/#!/typeA_ac/status/99836957512843264
>「中国がアメリカに社会保障費削減を言うのは、そうして米国資本主義を先鋭化させ、プロレタリアートとブルジョアとの矛盾を加速させる為の陰謀なんだよ!」「な、なんだってー(AA略」
その遥か前に、中国資本主義が先鋭化し、プロレタリアートとブルジョアとの矛盾が加速しているような気もしないではないですが。
そういえば、アメリカのゴリゴリサヨク雑誌「Monthly Review」の去る6月号に、「The Rise of the Working Class and the Future of the Chinese Revolution」(労働者階級の興隆と中国革命の未来)という論文が載っていましたな。
こういう左派が左派であるがゆえに率直に資本主義中国を批判するものが出てくるのがアメリカのいいところでしょう。変なネトウヨ系ばかりがエスニックな中国叩きに走るどこぞの国と違って。
>How will the rise of the Chinese working class shape the future of China and the world? Will the Chinese capitalist class manage to accommodate the working-class challenge while maintaining the capitalist system? Or will the rise of the Chinese working class lead to a new Chinese socialist revolution that could, in turn, pave the way for a global socialist revolution? The answers to these questions will, to a large extent, determine the course of world history in the twenty-first century.
中国労働者階級の興隆は中国と世界の未来を形作るだろうか?中国資本家階級は資本主義制度を維持しつつ労働者階級の挑戦を抑え込めるだろうか?それとも中国労働者階級の興隆は新たな中国社会主義革命を、そして世界社会主義革命への道を導くだろうか?これらの問いへの答えは、かなりの程度、21世紀の世界史の道筋を決定するであろう。
中国共産党をあっさり資本家階級と呼ぶだけの率直さを持った左派というのは、残念ながら日本にはあまりいないのでしょう。
« 弱い国、助け合わない国 日本 | トップページ | クソ仕事さん閉鎖 »
コメント