経済財政諮問会議を復活するのなら・・・
時事通信によると、
http://www.jiji.com/jc/q?g=eqa_30&k=2011081400071
>野田佳彦財務相は14日のNHKの討論番組で、東日本大震災の復興財源を賄うための臨時増税の実施時期について「政府や日銀、国際機関、民間シンクタンクも来年は3%近い成長が可能とみている。そういう基本シナリオ通りにかじ取りしていくことが必要で、税制措置の環境整備をする」と述べた。これは、復興需要に伴う経済成長が見込める来年度中の増税実施を示唆した発言だ。
財務相はまた、菅直人首相退陣後の新政権の経済財政運営に関し、「国家戦略の観点からしっかりとした会議が必要だ」と述べ、自民党政権下で予算や経済政策の基本方針を策定した経済財政諮問会議の復活を検討すべきだとの考えを表明。与謝野馨経済財政担当相も同会議の復活を提案しており、財務相は番組の終了後、記者団に「与謝野氏の意見をよく聞きたい」と語った。
もし、ほんとうに経済財政諮問会議を復活するのなら、その構成についてはきちんと考えていただきたい点があります。
2年前、民主党政権が出来たときに、『現代の理論』という雑誌に書いた文章で、最後にこういう苦言を呈したことがありますが、
http://homepage3.nifty.com/hamachan/minshu.htm(労働政策:民主党政権の課題)
>最後に、民主党政権の最大の目玉として打ち出されている「政治主導」について、一点釘を刺しておきたい。政権構想では「官邸機能を強化し、総理直属の「国家戦略局」を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する」としている。これは、小泉内閣における経済財政諮問会議の位置づけに似ている。
政治主導自体はいい。しかしながら、小泉内閣の経済財政諮問会議や規制改革会議が、労働者の利益に関わる問題を労働者の代表を排除した形で一方的に推し進め、そのことが強い批判を浴びたことを忘れるべきではない。総選挙で圧倒的多数を得たことがすべてを正当化するのであれば、小泉政権の労働排除政策を批判することはできない。この理は民主党政権といえどもまったく同じである。
労働者に関わる政策は、使用者と労働者の代表が関与する形で決定されなければならない。これは国際労働機構(ILO)の掲げる大原則である。政官業の癒着を排除せよということと、世界標準たる政労使三者構成原則を否定することとはまったく別のことだ。政治主導というのであれば、その意思決定の中枢に労使の代表をきちんと参加させることが必要である。
民主党政権の「政治主導」が失敗したから、自民党政権時代の経済財政諮問会議に戻るというのであれば、同じ過ちを繰り返す危険性があります。
いや、わたくしは国家戦略などというこけおどし的名前の組織よりも、経済財政諮問会議の方が望ましいとは思いますが、なんにせよ、それがちゃんとステークホルダーの声をきちんと政策決定の場に反映させるメカニズムとなるよう、その構成はバランスのとれたものとするべきでしょう。
まあ、「与謝野氏の意見をよく聞きたい」ということなので、その辺はちゃんとわきまえられているとは思いますが。
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