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2011年8月16日 (火)

中村正『ガイドブックILO国際労働基準』

標記の冊子をお送りいただきました。ありがとうございます。

・・・

と、いつもと変わらぬ謝辞をここに書くだけでは済まされないでしょうね。

なぜなら、この本の刊行元の日本ILO協会は、去る4月30日を以て解散させられてしまっているからです。労働組合が選挙で一生懸命応援して成立したはずの政権の手によって、そんな団体は要らないと潰されてしまったからです。

「りべらる」なみなさんが熱狂的に待ち望んでおられた民主党政権にとっては、こういうILOの国際労働基準を労働者に、企業に、そしてすべての国民に啓発するというようなことは、潰すべき「無駄」の最たるものだったのでしょうね(微苦笑)としか言えませんが。

この本の奧付けを見ると、2011年4月30日発行とあります。

無駄だと言われて潰された日本ILO協会の最後の刊行物というわけです。

中身は、中村正さんが同協会の今は亡き月刊誌『世界の労働』に連載したものに大幅に加筆修正したもので、第Ⅰ部が「ILOの歴史と機構」、第Ⅱ部が「ILO国際基準」です。まあ、一般向けの簡単な解説として、初心者にとってはとての便利な本だと思います。

しかし、関係者にとっては、中村さんの国際労働行政を綴ったやや長めのあとがきが興味深いでしょう。

>・・・しかし、2011年3月、『世界の労働』最終号で背景・経緯を述べたように、ILO協会は公益法人に対する一般的批判の強まる中で、財政的支援を絶たれ、自主的収入努力の道も否定されて、残念・無念2011年4月30日を以て60年の歴史を閉じることになってしまった。新しいILO協会の基石にと思った本書は、消え去ったILO協会の遺跡、そして私の社会人人生の遺言となってしまった

この本は中村さんと日本ILO協会にとっては遺言になってしまったわけですが、それが日本における国際労働基準の断末魔となることのないよう、労働関係者にとっては責任は重大だと思います。

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