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2011年8月24日 (水)

月給制と時給制

『労基旬報』8月25日号掲載の「月給制と時給制」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo110825.html

>ホワイトカラー・エグゼンプションの議論が「残業代ゼロ」に集約されてしまった一つの原因は、月給制でも残業代が出るのが当たり前だという感覚が戦後一般化したからという面がある。

 本来の月給制とは、その月に何時間労働しようがしまいが、月当たりの固定給として一定額を渡し切りで支給するもので、時間当たりの賃金額を一義的に算出することはそもそもできないはずである。実際、戦前の日本でホワイトカラー職員に適用されていた月給制とは、そのような純粋月給制であった。彼らに残業手当という概念はなかったのである。これに対し、ブルーカラー層に適用されていた日給制とは、残業すれば割増がつく時給制であった。

 この両者が入り混じってきた原因は、戦時下に厚生省労働局の主導でブルーカラーの工員にも月給制が適用され、その際月給制であるにもかかわらず残業手当が支払われることとされたことにある。一方で大蔵省により、ホワイトカラー職員の給与にも残業手当を支給するよう指導が行われた。この職員も工員も陛下の赤子たる産業戦士であるという戦時体制の産物が、敗戦後の活発な労働運動によって工職身分差別撤廃闘争として展開され、多くのホワイトカラー労働者とブルーカラー労働者が残業代のつく月給制という仕組みの下に置かれることとなった。

 1950年代には日経連の文書でもこの事態に対する問題意識が明瞭に見られるが、60年代以降はほとんど見られなくなった。もっとも、現実にすべての(管理監督者以外の)ホワイトカラー労働者に時間に応じた残業代が支払われていたのかどうかは別である。むしろ一律のあるいは評価に応じた形で、手当の一種として支給されていたのが実態であろう。それがとりわけ反体制派の少数派組合によってサービス残業という形で表面化してくるのは1980年代以降であり、労働行政が本格的に監督指導の対象とし始めるのは2000年代に入ってからである。ホワイトカラー・エグゼンプションの議論が経営側から提起されてくるようになるのは、それまでの事実上のエグゼンプションがサービス残業として指弾されるようになったからという要因が大きいように思われる

中身はお読みの通りで、、特に付け加えることもありませんが、最後のサービス残業の摘発の関係で、やや余計な話ですが、労務屋さんの夏休み明けのエントリの記述に一言だけ。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110822#p1(インターンが無償のバイトとは)

このエントリ自体は、旧切込隊長ことやまもといちろう氏の

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/08/post-60a8.html(インターンを無償のバイトで”使える学生選別の機会”と思ってる馬鹿ベンチャーの経営者ちょっとこい)

を取り上げたもので、わたくしが

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/hamachan-37c1.html(ものすごい正論に痺れた hamachanに聞かせてあげたい)

で取り上げたのと、まあ似たような視角から論じておられるのですが、その中に、こういう記述がありまして、

>このブログでは過去のエントリで労働基準監督行政についてはたびたび辛口のコメントをしているわけですが、そんな私でも認めていることがあり、なにかというと労基署、労働基準監督官のマンパワーが相当程度不足しているという実態があるわけです。

こういう手薄な状態のところにブラックリストを持ち込まれても全部を是正することは物理的に無理なわけで、どうしても一罰百戒的な監督にならざるを得ないというのはうなずけるところで、ここは私は現場に同情的です。

ここまではまったくその通りなのですが、その後の

>しかしマンパワーが絶対的に不足している中で是正勧告の件数や未払賃金の金額で評価をするとなると、どうしたって少ない労力で金額や人数を稼げる大企業に監督が向かいがちになるのも当然といえましょう。かくして、やまもといちろう氏の指摘するようなブラックのベンチャーは野放しとなるわけです。

というのはちょっと違うような。

上で述べたように、いわゆるサービス残業問題で大企業にも監督にはいるようになったのは2000年代以降であって、それまでは、まさに「マンパワーが絶対的に不足している中で是正勧告の件数」を挙げるという目的からすると、人事労務管理がしっかりしている(はずの)大企業は、叩いてもあんまり埃が出てこないこともあり、申告があればもちろん行くわけですが、計画的に監督をかける対象にはなっていなかったというのが実情だったように思われます。

もちろん、

>わが国の労働基準監督官は2,941人(明記されていませんがたぶん平成22年)で、雇用者1万人あたり0.53人となっています。この中には監督署長とかの管理職も入っているので、臨検などで実働しているのは高く見積もっても2,000人いないでしょう

という実態ですから、なかなか個々のブラック企業に手が回らないのは当然ですが、初めから大企業ばかり狙っているからブラックに行かない、という印象を持たれるとすると、それはちょっと違うのではないかと。

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