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2011年8月30日 (火)

「りふれは」はなぜ竹森俊平氏を罵倒しないのか?

先日、あらゆる公共を敵視し、増税に反対するティーパーティをテロリストと決めつけ、日本でも「税金をごっそり取って、一部を需要創出効果の高い公共事業に回せばよいのだ」と主張されている竹森俊平氏の記事を紹介しましたが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-78d9.html(竹森俊平氏の増税による公共事業論)

本日の朝日の鼎談(北岡伸一、大山礼子両氏と)でも、その議論をさらに展開しています。

>竹森 民主党が参院選の敗北や小沢問題などを経て、どれだけ成長したのかが問われたのが今回の代表戦だったと思う。今この時点で増税について候補者の中で唯一言及し、3党合意を尊重するといった候補に票が集まったことは、民主党が現実から学び成長した証拠と評価できる。

>竹森 ・・・日本では震災からの復興というなすべき経済対策がはっきりしているが、実行が遅れている。復興対策が軌道に乗れば、公共事業が増え、民間投資も盛り上がる期待が持てる。正常な経済では公共投資は税金で賄い、民間投資は貯蓄で賄うのが基本ルールだ。

増税が、震災復興を超えて、さらに社会保障と税の一体改革にまで結びつく政策フレームを準備する必要がある。「安心できる社会」という大きな枠組みでの税の体系の提示だ。増税は簡単にはできないので、一つの枠組みで、長期的に対応できるようにした方がいい。

日本の(「りふれは」ではない)まっとうなリフレ派経済学者の代表格と目される竹森氏が、ここまで明確に言い切っているのに、日本のティーパーティ一派(「りふれは」)はうんともすんとも音がしないようですな。

反税神聖同盟のテロリスト諸氏としては、こういう「財務省の手先」(笑)の妄言には、怒濤の如き悪罵の嵐を投げつけるべきところではないのでしょうかね。

さもないと、同じリフレ派の良心と評され、「りふれは」から卑劣な第3法則攻撃を受けたbewaardさんが泣いちゃいますよ。

(追記)

このエントリに対するものであるかのように見えたつぶやきの連鎖

http://twitter.com/#!/tiger00shio/status/109888198586531840

>おうふw 俊さんが、増税で公共事業って言っただけで茶会呼ばわりですかあw んで、リフレとは目的が正反対とな  ラストに俊さんdis   あのさー、茶会ってどっち???w

http://twitter.com/#!/proppin72/status/109889531058196480

>@tiger00shio プリンさん。はまちゃんは竹森俊平=増税公共投資=真のリフレ派、上げ潮=茶会=りふれは、という解釈かと

http://twitter.com/#!/sankakutyuu/status/109889803943813120

>え?hamachan批判なのコレ?

http://twitter.com/#!/tiger00shio/status/109890128415162368

>@proppin72  いや、ここでフォローしてる「りふれは」のお方ですよw  違う方がRTで、インフレだったら増税で公共工事でもねえ・・・・・ですって    中央銀行、立つ瀬ねえわwwって感じっす

http://twitter.com/#!/proppin72/status/109890688941948928

>@tiger00shio そうでしたかすみません。

http://twitter.com/#!/tiger00shio/status/109890696105824256

>@sankakutyuu  呼んだ?w  違うお  hamachan批判は、個人的にはずっと前に一度、ねえわあってのが一度あったけど これはちゃうよ~~ん

http://twitter.com/#!/sankakutyuu/status/109890950200967168

>ですよね。 QT

http://twitter.com/#!/tiger00shio/status/109892093337546752

>@sankakutyuu  おい!ハゲ!!RTやめろ!!!w  hamachanへの個人的な批判はほぼ一点のみ 「マクロ施策と分配は別」  今はどうか知らんけど   耳イタイっすか?ごめんおw

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コメント

竹森俊平氏は、積極的財政論者であると共に金融政策論者でもあります。

竹森氏は「米国はQE1およびQE2と金融政策を打ちながら、オバマ大統領は積極的な財政政策が発動されないのかと疑問を投げかけています。」

2011年2月5日付朝日新聞において「通貨混迷の先は」と題し、竹森俊平氏は次のように述べています。

>金融政策の役割も、日米の量的緩和策によって、これまで議論されてきた論点に答えが出たと思います。金利ゼロの状況では、いかに追加緩和をしても為替相場に影響は出ないといわれたが、実際はドル安になった。日本も円の急騰が止まった。日本のようにデフレで賃金が抑制され、国内消費が盛り上がらないときに円高になれば、本来は国際競争力が改善する効果が消えてしまう。バーナンキFRB議長の考えも、円高が嫌なら一緒に通貨量を膨張させたらいい、ということでしょう。日銀は今後も米国のペースに合わせて金融緩和を進めればよい。それで極端な円高は回避できるはずです。

『中央公論』5月号の論説「新たなる戦後は日本経済の前途を拓く」では、国債の直接引き受けについて言及しています。

>電力供給のボトルネックがない段階では国債の直接引き受けという選択を真剣に検討しても良い

また、“世界経済の現状と将来展望~持続成長を実現していくための条件”と題して、日本経済についても触れています。

>効果的な財政出動および金融の超緩和政策を続行するしか方法がない。(円高を回避するために)
http://www.tr.mufg.jp/ippan/csr/pdf/sri_01.pdf

今や、円ドルは75円台まで達してしまいました。円高、デフレが続くまま、金融緩和が十分でないことが問題なのです。20年以上の長期にわたって、デフレを続けている状態は異常というしかありません。デフレは、日本経済を破損してきたのです。

我が国は、財政再建の財源、社会保障の財源、復興財源、を必要としています。これらの財源を確保していくために、増税議論も必要ですが、まずデフレから脱却する必要があるのです。デフレを放置して、増税してこれらの財源に賄おうとしても無理があります。

日本はいわゆる「流動性の罠」に陥いり、名目金利をゼロにしてもデフレのため、実質金利は欧米より高いのです。デフレから脱却するためには、思い切った金融緩和を行い、「インフレ期待」を確信させるようなメッセージを発信し続けなければならないのです。

円高メリット?

日経新聞9月2日朝刊の1面に“日本 実は高金利”という記事で、主要国の実質金利を比較しています。日本、スイス、ユーロ、米国、英国について2009年1月から2011年6月までの実質金利を比較しています。この期間、日本とスイスの実質金利はプラスであるのに対して、ユーロ、米国、英国はマイナスです。直近では日本とスイスの実質金利がほぼゼロであるのに対して、英国(-4%)、米国(-3.5%)、ユーロ(-1.5%)です。これらの国ではインフレ期待が大きいということです。実質金利がマイナスということは、現金の価値が下がると予想してるということであり、投資を促進し、雇用を促すことにつながります。日本のように、実質金利が高いと、現金の価値が高くなるため円高につながり、投資が海外に逃げていきます。

実質金利の高い、日本とスイスの通貨が高騰しています。スイスフランは1ユーロ=1.0075フラン(購買力平価1.35フラン)まで値上がりし、スイス中銀はフランの高騰を阻止するために「当座預金の残高目標を1200億から2000億フランの間に引き上げる」と発表しました。スイス中銀の発表を受けて、15日時点では1.1277フランと約10%下落しました。

>スイスフランの高騰に不満を募らせた労働組合のメンバーは16日、中銀および議会前に集結し、中銀がスイスフラン高抑制に向けて確固たる対策を打ち出さない限り、何万人もの職が失われると訴えた。(ロイター8月18日記事)

>スイス中銀は29日、市中銀行が中銀に預け入れる当座預金の残高が8月26日までの週に1639億スイスフランとなったことを発表した。前週の562億フランから約3倍に増加したことになる。(ロイター8月29日記事)

日銀の当座預金残高は、年初の20兆円くらいから、震災直後に40兆円くらいまで増やしましたが、その後6月から8月末にかけて30兆円くらいまで引き下げています。その間、ドル円は震災直後の85円くらいから76円くらいまで値上がりを続けています。

円高対策を叫びつつも、実質的な対策が取られていません。

野田総理が選出される直前の29日、政府は与謝野経済財政担当相ら関係閣僚で構成する「経済情勢に関する検討会合」を開き、2つの柱からなる円高対策の考え方をまとめました。

1.円高で打撃を受ける中小企業の資金繰り支援や雇用の下支え
2.円高メリットの徹底活用

中小企業対策がどのくらいの規模かわかりませんが、政府による恣意的な経済対策にほかなりません。誰が、どのような中小企業を選んで、どのような方法で、どのくらい融資しようというのでしょうか。恣意的な政策がこれまでの日本経済を痛めてきたのだと思います。

円高メリットとして、日本企業による海外企業のM&Aや海外資源の権益取得をあげています。もちろんプラス面としてこのような面はありますが、海外に進出できる企業は一握りにすぎない、大半は中小企業であり、企業の海外進出で国内の雇用が逃げるというマイナスに目を向ける必要があります。

民主党のマニフェストにおいて「東アジア共同体の構築を目指す」を掲げ、鳩山前首相は日米中の正三角形なる構想を唱え、沖縄普天間基地問題を引っ掻き回して政権を去っていきました。同じ文脈で藤井元財務大臣は円高容認論を唱えました。また、伊藤元重教授は“アジアに広げる円高メリット”として海外資源の購入、海外投資をあげていますが、同じ文脈上にあるのでしょう。今回の「経済情勢に関する検討会合」の検討結果もその延長線にあるものと推察されます。「東アジア共同体」構想はまさに、「大東亜共栄圏」に重なるように思えます。尚、伊藤元重教授は円高メリットとして、「海外旅行の費用が安くなる」を挙げています。非正規労働者、新卒求職者の痛みがわかっているのか疑問です。

スイスの労働組合が中銀および議会前に集結して通貨高の痛みを訴えましたが、日本においても通貨高の弊害を認識して、国民が声を上げてこれに反対していく必要があります。

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