独立行政法人雇用・能力開発機構廃止問題を考える@『労働法律旬報』
『労働法律旬報』8月下旬号が届きました。
今号には、わたくしの明治大学での講義録の後半も載っておりますが、すでに一橋大学フェアレイバー研究教育センターのHPに上下併せて載っておりますので、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-7537.html(どのような社会をめざすのか-ヨーロッパと日本(上)(下))
そちらを読んでいただくこととして、それよりむしろ、今号の特集の「独立行政法人雇用・能力開発機構廃止問題を考える」こそが読まれるべき内容です。
[巻頭]使い捨てられる原発労働者―被曝者を生み出すことを前提として成り立つ原発産業=林弘子・・・04
[特集]独立行政法人雇用・能力開発機構廃止問題を考える
誰のための廃止か?―雇用・能力開発機構廃止に至る経過と背景=篠原百合子・・・06
独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止から考える「全員解雇・再雇用」方式の問題=平井哲史・・・11
職業訓練需要増大への逆行―能開機構廃止によせて=後藤道夫・・・15
[資料]
勤労権の保障を減らし、雇用を危うくする独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止法案を批判する(意見書)[自由法曹団 2010.7.26]・・・33
法律により独立行政法人職員の雇用を奪うことは違憲である(声明)[日本労働弁護団 2010.10.28]・・・42
独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律[厚生労働省 2011.4.27]・・・44
[紹介]弁護士短信―労働事件簿71日本郵便輸送事件/違法残業代不払い「取り替え」の就業規則不利益変更=谷真介・・・26
労働判例/日本郵便輸送事件(大阪地堺支判平23.4.22)・・・60
[紹介]一橋大学フェアレイバー研究教育センター45/どのような社会をめざすのか~ヨーロッパと日本(下)=濱口桂一郎・・・28
ここでは、後藤道夫さんの「職業訓練需要増大への逆行―能開機構廃止によせて」から若干引用しておきます。これは、一法人の問題にとどまらず、日本の労働市場のあり方の根幹に関わる問題であるからです。
>・・・長妻氏の発言によれば、移管に際して人員が二割削減される。能開機構廃止は職業訓練への国の公的関与を大きく縮小するのである。
>だが、すぐ次に見るように、現在の日本社会は、公的な職業訓練機能の本格的な充実・拡大を必要としている。国の関与は、逆に大きく拡大されなければならない。今回の能開機構の廃止決定は、社会と時代の要請に逆行する愚行というべきものである。
>・・・企業による職業訓練が縮小したとすれば、公的な職業訓練がその欠落部分を埋める必要があろう。だが、公的職業訓練について、そうした方向での大きな見直しは行われていない。能開機構廃止に際して、こうした大状況の変化が議論された形跡はない。
それはそうでしょうね。労働者の権利利益には何の関心も待たないまま、突出して「仕分け」をやりまくることばかりに専念した「平成維新の会」出身の政治家の下ではじめに結論ありきで進められたのですから。
>職業能力開発促進法は日本型雇用の解体縮小に対応すべく、抜本的に改正し、職業訓練の公的責任をはっきりさせる必要がある。本格的な若年の正規雇用促進と職業訓練促進のための立法、あるいは法改正も必要である。若年向けの公的な長期訓練は現在の少なくとも10倍程度に増やすことが必要だろう。
ところが、ワカモノの味方のふりをしたエセワカモノ中年の連中は、こういうことを目の仇にするのですね。
« 大阪府職員基本条例案 | トップページ | 大阪府教育基本条例案 »
りふれ派の一角をなす、みんなの党。
雇用・能力開発機構の廃止に熱心だった渡辺代表のほか、8月18日朝日新聞朝刊のオピニオン欄の石橋英昭論説委員の「環境省が「原発監視」の意味」で指摘するように、中央省庁改革の祭、原子力規制を環境にかかわる省庁にひとまとめにしようとした改革案をつぶした通産省。そのとき、通産省に甘かったといわれる橋本総理と、そのふところ刀の、通産省出身の政務の秘書官。総理と秘書官は、どんな判断で、最初の構想をあきらめたのだろうか?
橋本総理はお亡くなりになってしまったが、その時の秘書官こそ、みんなの党幹事長の江田氏。
みんなの党は、かっこうのよいことばかりいっているが、過去の自らの言動や行動について、おとくいのはずの「説明責任」を、自らもちゃんとはたしてほしいと思うのは、私だけだろうか?
その場その場で、調子のよい「瞬間芸」をみるのは、民主党だけでたくさんだ。いいかげん、あきあきだ。
投稿: 元リフレ派 | 2011年8月20日 (土) 01時48分