フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

« 『POSSE』12号の表紙画像 | トップページ | ドルココさんの拙著短評 »

2011年8月26日 (金)

竹森俊平氏の増税による公共事業論

一昨日の日経新聞の経済教室に、竹森俊平氏が「ユーロの構造問題、前面に」という文章を書かれています。

竹森氏といえば、世間ではリフレ派の中心的人物として知られていますが、この文章を読む限り「りふれは」ではないようです。むしろ内容的には大変同感できることが書かれています。

>・・・経済政策を実施する政治環境は日本の場合むしろよい。そもそも「景気刺激」と「財政再建」の両立が不可能かといえば、そんなことはなく、税金をごっそり取って、一部を需要創出効果の高い公共事業に回せばよいのだ。ところが前述したように、こうした理論的には簡単なことが、欧米では政治的な理由で実行できない。

>ところが日本の場合、「東日本の復興」「今後の震災への備え」と、必要不可欠な公共事業に事欠かない。国内の政治対立が高まっても復興予算の成立を妨げるほどにはならない。各種の世論調査を見ても、財政健全化のための増税を国民は支持している。つまり欧米で見られる政治の閉塞が日本には存在せず、そのことが円高の一因となっている。このポリティカルキャピタルを有効に使い、復興のための公共事業を2~3年で集中的に実施すればよいのだ。

小野善康さんの本を読んだときに感じるのと似たような内容面への全面的な同感とともに、日本の政治状況に対する楽観的な記述が殆ど皮肉ではないかと思えてくるほど「浮いて」いるのが印象的です。

いや、だって、「税金をごっそり取って、一部を需要創出効果の高い公共事業に回せばよい」という「理論的には簡単なこと」が、欧米どころか、まさにこの日本において、「政治的な理由で実行できな」くなりつつあるんじゃありませんか。

しかも、その、できなくしようとしている元凶が、日本のティーパーティーともいうべき反税神聖同盟の「りふれは」の皆さまなんですから。

確かに「財政健全化のための増税を国民は支持している」のですが、そういう国民に公務員や公共的事業への憎悪をひたすら煽り続け、「政治の閉塞」を繰り返し実現しようと熱狂しているのが、日本のティーパーティーともいうべき反税神聖同盟の「りふれは」の皆さまなんですから。

もしこの表現が「りふれは」諸氏に対する深い皮肉でなければ、竹森氏の目にはいかなる政治状況が、いかなる経済論戦が映っているのだろうか、と、不思議な思いにとらわれてしまいます。

いや、繰り返しますが、内容面には、全面的な同感を感じているのですよ。

なぜ、かくもまっとうな、まっとうすぎる議論を展開する人が、「りふれは」の憎悪と悪罵の対象にならないのかが、不思議でならないだけです。

« 『POSSE』12号の表紙画像 | トップページ | ドルココさんの拙著短評 »

コメント

中央銀行に、直接国債を引き受けさせるということをいう論者は、さすがに、アカデミックな議論としてであっても、さすがに信頼性を失うのでは。標準的な経済理論によれば、竹森氏のいうとおり、投資する先を間違わなければ、それなりの乗数効果が見込まれるはずで、それは増税による効果の減殺をも上回るはず。
加えて、公共事業を建設国債でやるにしても、結局長い間における税収で平準的に償還していくという話でしかないはず。
リフレ派でも、経済学の基本として、ノー・フリー・ランチ(ただのランチはない)をいうのに、なぜ、復興に関する公共事業の場合には、ノーフリーランチが成立するのか、全然わからないでいる。日銀が国債を引き受けるという「通貨」供給権を目くらましに使っているとしか思えない。
復興に関する公共事業なんだから波及効果は、通常の公共事業より常識的には大きいはず。かたくなに、償還論議を避けるのは、あまりにも、学問的良心にかけるのでは。
りふれ派は、自分と違う人の主張は、官僚のポチ、として、操作するが、彼らこそ、債券の暴落やエクイティがあがることを狙っているヘッジファンドなどのポチなのではという疑念をぬぐえないでいる。

「りふれは」がティパーティであるというご指摘は少し違うのではないかなと思っています。おそらく濱口先生が想定しておられるのは高橋洋一さんや勝間和代さんや飯田泰之さんであったりするんですが彼らは相続税などの富裕層への増税はわりと積極的に認めておられます。なぜリフレ派が増税に反対するのかといえばそれが常に弱者に負担を強いる消費税だと思います。自分も見ていて、「消費税増税反対」とちゃんと言えよと思いますが、そこに関しては擁護したい気持ちになります。むしろ日本はティパーティが主流に見えます。消費税を増税して法人税を減税するなどの政策です。アメリカの場合は茶会は減税部分が取り上げられますが、共和党支持のマンキューはもし全ての財源が消費税によって賄うことが出来ればなぁとブログで表明したことがあります。僕には日本のリフレ派は強いてどちらかといえば米国民主党寄りに見えます。

そういう風に、ものごとをきちんと腑分けして議論してくれるならいいのですけどね。

わたしがわざわざ「りふれは」というひらがな書きをすることで、一定のシグナリングをしていることはおわかりのはずで、その趣旨はまさに、無差別に増税に反対し、無差別に公共政策に反対し、公務員叩きをしていればそれで万事良しというような類の発想の「ティーパーティ」日本版の人々を指し示そうとしているわけです。いうまでもなくそれはリフレーション政策を支持する全ての人々の集合の一部に過ぎません。ただ、その人々が、いかにも自分がリフレ派の特命全権代表みたいな顔をしているものですから、発音はまったく同じ「りふれは」と呼んであげているわけです。

島本さんが、たまたまマクロ経済政策の一部でその人々と共有するものがあるからと言って、ご自分が非難されているかのようにお感じになる必要はないと思いますよ。

>島本さん

高橋洋一氏がブレーンであり、飯田泰之氏が投票をすすめたみんなの党が超緊縮財政を推し進めていたことを見ると、ティーパーティーと言われても仕方がないですよ。少なくとも、みんなの党の政策は社会保障の削減が本音じゃないですか。

「知的」で「誠実」な「りふれは」
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-a897.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-a897.html

hamachan先生 

どうもですw specさんが言うように正直「どっちつかず」になっている感を感じるのは確かです。で、公務員批判を人気取りだけに利用している感は否めない。マンデルフレミングをかなり強調しているのは金融緩和すれば財政は総需要を動かさないことを含意しているようにもみえるわけです。それが僕が感じる不満点です。よって、みなさんが仰っていることもよくわかります。

ただ、擁護というわけではないんですがリフレ派がネオリベ的政策を提案せざるをえないのは選挙を鑑みるに仕方ないと言えると思います。それは、金融緩和(総需要管理政策)には再分配の側面が強く「社会主義的、修正資本主義的」である面が強く見えるわけです。だから例えばフリードマンは他のリバタリアンにあんなパチもん一緒にすなとか言われました。僕みたいな匿名アカなら、「金あるやつから税金とってない奴にぶっこみましょう、国債出さないなら預金税で召し上げればいいじゃないの。」とかあけすけに言っても良いですけれど、それじゃ「社会主義政党」呼ばわりされてしまうのは否めないと。そこで彼らは、「オブラート」を必要とする。具体的には中立性というオブラートです。よって、「一律減税や、円安介入」といった雇用創出効果が薄いと思われる政策を提唱せざるを得ない。でないと「改革政党」のはずが「社会主義政党」だったと非難されることになるから。この辺に彼らも苦悩しているんじゃないかと思うんです。また、みんなの党の議員の中にはツイッターを見る限りゴリゴリの構造改革派もいるわけですから、仮にリフレ派の皆様の本音替わりと僕に近くてもそれを言い出せば党が空中分解してしまう懸念もあると。政治って大変だと思いますわ。長文失礼致しました。

民主党代表戦に出馬の全候補が日銀に金融緩和を要請するという。(ロイター、8月28日)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK049505520110828

円高が最高で75円台まで進むと、さすがの日本企業も悲鳴を上げている。円高が高進し企業利益を圧迫すると、企業は日本脱出を図らなければならなくなる。円高デフレによって景気低迷が続き、産業は空洞化し、新規雇用者数は減る。

デフレ脱却の政策がないまま、増税だけを叫び、円高を放置してきた財務省および日銀の責任は重い。リーマンショックの後、米国はQE1、QE2でマネタリーベースを250%も膨らませ、EUは140%膨らませたのに、日銀は2006年の量的緩和の解除以降マネタリーベースを収縮させたのである。円高が進むのは当然である。
http://www.sc.mufg.jp/inv_info/business_cycle/sn_report/pdf/snb20110803.pdf

前原前外相は、今後3年間をデフレ脱却集中期間とし、思い切った財政出動と金融緩和を提案した。前原前外相の日銀による国債の引受についての言及は注目に値する。

「公的資金が保有する国債を日銀に引き受けさせ、このお金(円)でドルを買い、海外優良資産を購入するればよい」

円売りドル買い介入と同等の効果があり、また海外の資源や食料資源を購入すれば円高の恩恵を生かすことができる。さらに、マネタリーベースが増えれば、金融緩和にもなる。

マネタリーベースの増加(お金の増刷)は、通常インフレを伴う。物の量が同じで、お金の流通量が増えるならば、物の値段は上がるからである。お金の流通量を増やすと同時に、生産量を増やす(生産を増やす⇒雇用を増やす)ならば原理的にはインフレにならないで、雇用を増やすことにもなる。GDPも増えるから、税収も増える。円の価値は低くなるが、円高は是正され、輸出企業は収益を確保することができ、産業の空洞化を防ぐことができる。円安で海外資産の価値も上がるではないか。

今まで、円高デフレを耐え忍んできたのである。円高のメリットを一気に手にするデフレ脱却政策に期待する。

要は、みんなの党の本質はどこにあるかという問題だと思います。社会保障をはじめとして、財政の支出を伴う問題は予算の裏づけがないと実際の政策として結実することはありえない。政権をとる前の民主党のように、口先だけで甘言を弄することはいくらでもできます。世間受けするように消費税増税反対と官僚叩き、社民主義者受けするように高額所得者への課税、新自由主義者に受けるように規制緩和を訴える。でも「予算案」をみてみれば、みんなの党の本質が新自由主義的な政策にあるのは明らかでしょう。
高橋洋一の論によれば、名目経済成長率が国債の金利を下回らなくなるのが4%、だから4%の名目経済成長率がなければプライマリーバランスが黒字化しても国債のGDP比が上昇するから財政破綻するそうです。彼らは、超緊縮財政と通貨への信任を失うリスクの高い日銀の国債引き受けでそれが達成できると本気で信じてるんでしょうか。
逆に、八方美人なアジェンダにとらわれて中途半端に嘘を取り繕う政策しかとらなかったら、政治に対するさらなる失望しか生まないことは、民主党政権の二年間が余すところなく証明しているでしょう。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 竹森俊平氏の増税による公共事業論:

« 『POSSE』12号の表紙画像 | トップページ | ドルココさんの拙著短評 »