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2011年8月 6日 (土)

OECD対日経済審査報告書2011年版(続き)

93569というわけで、昨日に引き続き、「OECD対日経済審査報告書2011年版」の「評価と勧告」から、最後の第5章に関する部分。

昨日は、やや言葉に毒がありすぎ?という感じもしたので、本日はさらりといきますね。

まずは「労働市場の二極化を縮小することが最優先事項である

>日本の労働市場は、賃金や労働時間の柔軟性を含む多くの好ましい特徴を維持している。しかし、1990年以降、経済成長が著しく減速する中、長期雇用、年功賃金、そして60歳での定年といった伝統的な労働市場慣行は、ますます経済状況にそぐわなくなった。その結果、企業は、より高い雇用の柔軟性を得るため、また労働費用を減らすため、より多くの非正規労働者を雇ってきた。実際、企業にとっての利点を反映し、非正規労働者は今や雇用者の3分の1を占める。しかしながら、非正規労働者には、仕事や教育の類型の違いを調整した後でさえ、低い賃金が支払われており、訓練を受ける機会も少なく、また社会保険制度によって十分にカバーされていないことから、非正規労働者割合の高まりは懸念を生じさせている。加えて、非正規労働者は、相当の雇用の不安定さに直面している。たとえば、非正規労働者は、2008年から2009年の間の雇用者の減少の3分の2を占めた。さらに、分断された労働市場での限られた流動性は、非正規雇用が正規雇用へ通じる道となっていないことを意味している。政府は、短期的な派遣労働者の利用を法的に制限し、そうした労働者を継続的に雇用することを促す政策を提案している。これは、硬直性に伴う費用を高め、全体として雇用を減らすことになることになるかも知れない。それよりも、、非正規労働者の社会保険の適用範囲を拡大し、訓練プログラムを向上させること、非正規労働者に対する差別を防止すること、そして、正規労働者に対する実効的な雇用保護を減らすことなどを含む包括的な取り組みが必要である。

今まで繰り返されている提言なので、特に目新しいこともないとは言えますが、少なくとも、インチキな連中をあぶり出すのには使えます。

そう、この最後の正規労働者への雇用保護のところだけをOECDがこう言うとると騒ぎ立てる割に、その前のところでOECDがきちんと指摘している非正規労働者への社会保険の拡大を目の仇にし、訓練の拡大を憎み、差別防止を誹謗する人々のことですよ。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-a344.html(ゾンビ企業の味方です!キリッ)

>池田信夫氏は、こと労働者が絡まない限りは、ゾンビ企業は潰せ潰せ!と、中小企業に対してまことに峻厳な姿勢を示しますが、なぜかこと労働者が絡むと、最低賃金を払えないような、社会保険料を払えないようなゾンビ企業を断固擁護します。

ゾンビ企業に働く労働者は、多くの場合、池田氏の非難する(NHK社員のような)立派な既得権はほとんどなく、正社員といってもずぱずぱクビを斬られていますが、池田氏にとってはそういう労働者が絡むようなゾンビ企業こそ、地球が滅ぶ日まで守り抜かねばならない存在なのでしょうか

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-cdf2.html(池田信夫氏の勇み足)

>しかし、OECDはどこかの一知半解さんとは違って、それだけで話を終わらせるようなことはしません。「正規雇用と非正規雇用の保護上の格差を減らす」というのは、もちろん「正規契約をしている労働者の雇用保護規制の厳格性を緩和する一方で、有期労働者、パートタイム労働者、派遣労働者に対する保護を強化する」ことであるわけです。

そして、鎌田先生が座長をしていた有期労働研究会は、まさにこのOECDが求めている「有期労働者・・・に対する保護を強化する」政策方向を探ってきたわけですから、そういうことを何も知らずに「労働法学者って英語も読めないの?」などと言い放てる池田信夫氏の神経には驚嘆の念を禁じ得ません。

池田信夫氏は、英語でとは言いませんが、せめて日本語で翻訳の出ている雇用労働関係のOECD文書くらいは目を通してからつぶやいた方がいいと思います

あんまりさらりとしなくなってきたので、次に行きましょう。

次は「女性の労働参加を高め、高齢労働者をより有効に活用することは、人口高齢化に対処するために必要である

>非正規雇用の増加傾向を反転させるならば、非正規労働者の58%を占める女性の労働参加率を高めることになるかも知れない。高い賃金の正規の地位を得ることに伴う困難は、特に子育てのために労働力人口から離れた女性が働くことを妨げているかも知れない。出生率を上昇させるとともに、働き盛りの女性の比較的低い労働参加率を高めるためには他の改革も必要となる。第一に、保育所の利用可能性を拡大することが重要である。第二に、女性が仕事と家庭での責任を両立することが出来るよう、よりよい仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)が必要となる。第三に、税制や社会保障制度は、配偶者が働くことを妨げる側面を取り除くために改革されるべきである。女性の労働参加を高めることに加え、今世紀半ばまでに生産年齢人口が40%近く減少することが見込まれる中にあっては、高齢労働者をより有効に活用することが優先事項となる。現在、大多数の企業は、60歳の時点で強制的な退職を迫るが、多くの労働者は、通常かなり低い賃金による短期間の契約に基づき再雇用される。政府は、強制的な退職を禁止し、年齢ではなく能力に基づくより柔軟な雇用と賃金制度を目指すべきである。要すれば、急速な人口高齢化に対処するため、女性、高齢者、そして若者を含む全ての日本の人的資源をより有効に活用することが不可欠となっている。そういった政策は、新成長戦略の中で想定されているように、高度な技術を有する外国人労働者の流入増加を同時に伴うべきである

特に解説の必要はないと思いますが、高齢者問題については、このエントリで説明していますので、併せてお読み下さい。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-285d.html(高齢者雇用について論ずべきたった二つのこと)

>単純化してしまえば、問題の本質はこうです。

問題その一、高齢者を働かせずに現役世代の稼いだ金で養うか、それとも自分たちでできるだけ長く働いてもらうか。

問題その二、正社員のポストを高齢者に維持するか、若年者に振り向けるか

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-dea6.html(高齢者・女性・障がい者で「少子高齢社会」を支える@Yahoo)

一点だけ注意すべき点として、最後のところで「高度な技術を有する外国人労働者の流入」を慫慂していますが、問題はどういう人が「高度な技術を有する外国人労働者」で、どういう人がそうではないかであって、とりわけ介護労働力を高度技術者という名の下に導入しようという動きについては、ほんとにそうなのかという警戒感をもって当たるべきでしょう。

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