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2011年8月23日 (火)

厚生労働白書2011

本日、厚生労働白書2011年版が公表されました。変なカルタとかもついておりませんが、第1部は「社会保障の検証と展望~国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀~」と題して、戦後日本の社会保障の在り方を概観しつつ、その再検討を展望しています。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/11/

第1部 社会保障の検証と展望 ~国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀~
はじめに(1~4ページ(PDF:428KB))

第1章 どのような時代背景だったのか(5~31ページ(PDF:2,221KB))

第1節 経済や働き方はどうだったのか -生活水準は向上しつつも雇用不安は近年増大-
第2節 家族はどうだったのか -大家族から単身世帯の増加-
第3節 人口増加社会から人口減少社会への転換 -現役世代の減少-
第4節 人生80年時代になったが、不安は増大 -不安社会の到来-

第2章 時代のニーズに対応した社会保障制度の発展を振り返る(32~84ページ(PDF:1,917KB))

第1節 国民皆保険・皆年金実現以前の社会保障制度
第2節 国民皆保険・皆年金の実現
第3節 制度の見直し期(昭和50年代から60年代)
第4節 少子・高齢社会への対応
第5節 経済構造改革と社会保障
第6節 政権交代と社会保障

第3章 半世紀間の皆保険・皆年金を中心とした社会保障の成果を検証する(85~106ページ(PDF:1,522KB))

第1節 これまでの社会保障の充実
第2節 サービスを提供する基盤の整備
第3節 社会保障を取り巻く環境の変化への対応
第4節 保険料や公費の負担

第4章 これからの社会保障を展望する(107~128ページ(PDF:1,707KB))

第1節 今後の社会保障に求められるもの
第2節 現在の社会保障改革の議論

おわりに(129~130ページ(PDF:662KB))

参考資料(131~141ページ(PDF:932KB))
参考文献(142ページ(PDF:462KB))

ここでは、第4章第1節の「今後の社会保障に求められるもの」の冒頭の部分を引用しておきます。これからの社会保障政策を考える上での基本認識が明確に示されています。

>1995(平成7)年の社会保障制度審議会の勧告においては、社会保障の役割として、「広く国民に健やかで安心できる生活を保障すること」を挙げている。「安心」の源の重要な1つは、安定した雇用により所得が得られるということであるが、完全雇用に近い状況下で日本型雇用(終身雇用、年功序列賃金)が確固として存在していた時期には、この面における社会保障の役割は大きなものではなかった。高度成長期における「安心」は、多くの人にとって、男性を中心とした正社員が日本型雇用により所得を保障され、専業主婦をはじめとした家族による子育て、介護が期待できていたところにあったということができる。医療保険における被扶養配偶者、年金における遺族年金・基礎年金の保障、所得税における配偶者控除あるいは給与における配偶者手当など専業主婦には制度的・経済的な支援もあった。この「安心」を疾病、老齢、障害、失業というリスク対応によって補完するという形で日本の社会保障が発展していった。また、家族、地域のつながりはより密接であり、子育て等に互助が期待できるところも大きかった。

日本の社会保障が医療、年金を中心に発展したのはこのためであり、高齢者の介護が家庭のみでは支えきれなくなると、介護保険の制度化によりこれに対応することとなった。日本で児童手当等の家族給付が欧米より遅れたのも、多くの企業の賃金に配偶者や子どもの扶養手当が設けられていたという点が大きい。

ところが、現在では日本型雇用が揺らぎ、雇用情勢の変化により、現役世代の間にも貧困問題が大きく顕在化している。既にみた雇用情勢の厳しさから、若年者を中心に失業者が増え、就業していても、派遣労働、パートタイム労働等の非正規労働に従事する者が増加している。これらの者は、ワーキングプア、派遣切り等の現象にみられるように、これまでの日本型雇用による生活の保障を受けられず、社会的な地位も確保できない。その上、相対的に給付が手厚い被用者年金、被用者保険の対象から外れることもある。雇い止め等により職を失う可能性がより高いにもかかわらず、失業給付、職業訓練給付等については、すべてが適用されるわけではなく、されても給付水準は正規労働者の場合に比して低くなっている。

現役世代は子育て世代でもある。母子家庭など子どもの貧困の問題も注目されており、子育て世帯への経済的支援を望む声も多い。また、保育所等の現物による子育て支援ニーズは格段に高まっている。現在では夫婦共働き世帯数は専業主婦世帯数を逆転しており、産業構造の変化によって知的労働やサービス業が増加し、更には、人口が減少していくという状況下で、女性労働力への期待は高まりこそすれ減少することはない。日本型雇用の揺らぎや昨今の経済状況により、夫婦揃って働くことが必須となる世帯も増加しているとみられる。単身世帯や共働き世帯の増加のほか、きょうだい数の減少による親族間の支援の低下もある。地域社会での結びつきも薄まっており、結果として、子育て支援という社会保障ニーズが従来にも増して顕在化してきている。

>国民皆保険・皆年金の実現は日本の社会保障が「救貧」から「防貧」へと展開した大きなエポックであった。国民皆保険は日本人の平均寿命の伸びに大きく貢献し、国民皆年金は長くなった老後生活の支えとなった。しかしながら、病気になっても治療を受けることができ、基礎的な生活費も保障されているという状況にあっても、それだけで幸福を感じるということになるだろうか。

高齢者の福祉サービスが施設サービス中心から在宅サービスを重視する方向に変わり、在宅医療が推進されてきたのは、既に述べたように、老後も住み慣れた地域社会で、親族や知人とともに暮らし続けることを可能とするためであった。障害者福祉でも日中の活動支援と夜間の居住支援を分離し、精神科医療でも入院を前提と考えるのではなく地域での生活を支えるためのものとする考え方が示されている。

他方、日本の職場、家庭、地域社会は大きく変容している。雇用は不安定化し、単身世帯が増大し、地域の結びつきは希薄化している。このため、将来の生活への不安に加え、個々人の帰属意識、言いかえれば自らの「居場所」や「こころの拠り所」があるという安心感の動揺をもたらしている。だれにも看取られずに亡くなる孤独死の増大は結びつきの希薄化の典型であろう。

職場、家庭、地域社会の変容は、産業構造の変化や地方部から都市部への人口移動、近年では経済のグローバル化などから生じたものであり、その意味では必然的なものである。

しかし、多くの国民が将来の生活に不安を抱いている現在、今後の社会保障に求められる役割は、社会に安心を取り戻すことにある。様々な不安要因、生活していく上での不安が現実に発生した時のための備えが社会保障制度であり、備えが的確になされ、国民がそれを認識していれば、一人ひとりが安心して暮らせる社会を実現することができる。国民の不安が不安定な雇用や経済情勢、止まらない少子高齢化に加え、家族や社会とのつながりの希薄さや孤立感などに由来しているものであれば、社会保障改革の方向性はそれらを克服することを目指すものでなければならない。

すなわち、社会保障の役割として、「救貧」、「防貧」だけでは十分ではないということになる。これらに加え、すべての人に社会への参加を保障する参加型社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)を目指すことが必要なのである。就労あるいは社会参加を通じて、国民が自らの可能性を引き出し、発揮することを支援する。失業によって貧困に陥った人にも単に金銭給付を行うのみではなく、就労支援を併せて行って再就労に結びつけるというトランポリン型の支援が求められている。「福祉から就労へ」という考え方は参加型社会保障の大きな柱の1つということができる。

就労以外の社会参加も重要である。かつての地域活動の主役は職住近接の農家や自営業者、専業主婦等であったが、産業構造の変化や共働き世帯や単身世帯の増加で、こうした人たちは減少している。他方、仕事に没頭してきたサラリーマンの中には、定年退職後に地域とのつながりが持てないでいるというケースもある。地域でのボランティア活動でも趣味のサークルでも、できれば現役のうちから、自分の居場所を地域に見つけられることが重要であり、そのための支援が必要である。そして、こうしたことで、従来支えられる側とされていた高齢者等が支える側にも回ることができれば、新しい形で地域での支え合いが復活することになる。

>こうした状況の中で、今後の社会保障の役割としては何が求められているのであろうか。

まず、現役世代を中心とする新たな社会保障ニーズについてはしっかりとした対応が必要である。日本型雇用の動揺等によって現役世代にも貧困リスクが増大している以上、その安心を確保していく必要がある。現役世代が安心して生活を営み、仕事に励み、消費を行うということでなければ社会は成り立っていかないし、経済も成長していくことはできない。リスクが顕在化し、貧困に陥ってしまった場合に、的確な支援を行うことで再び自立してもらうことは本人のためであることはもちろん、社会保障を支える側に復帰してもらうという意味でも重要である。この場合の支援が個別的かつ包括的な支援であり、かつ参加型社会保障の考え方によるべきことはもちろんである。具体的には、職業訓練と訓練期間中の生活を支援し、訓練受講を容易にするための給付を行う求職者支援制度(2011(平成23)年10月1日施行)の実施や、生活保護受給者等への「福祉から就労へ」の一貫した支援である。非正規労働者など従来の社会保障のセーフティネットから抜け落ちていた人を含め、すべての人が社会保障の受益者であることを実感できるようにしていくことが必要である。

子育て支援についても、「子ども・子育て新システム」(第2部第1章第4節参照)を実現し、すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子ども・子育てを社会全体で支援する必要がある。子どもや子育て家庭のためであることはもちろん、次世代育成支援は、日本社会の持続のためにも不可欠であり、また、世代間及び世代内の給付と負担のアンバランスについての不満を緩和することもできる。

個別的かつ包括的な支援の必要性と参加型社会保障の考え方は、現役世代のみならず、すべての世代、あるいは健常者・障害者を問わないすべての人への支援に通じるものとしなければならない。そして、このような支援は、例えば中学校区といった地域レベルで行われる必要があり、地方自治体のみならず特定非営利活動法人、社会的企業、そして地域住民自らの参加と活躍が期待される。包括的な支援を行うためにはコーディネート能力を有する人材の確保が必要であり、各支援を提供する者との円滑な連携のためのシステムづくりが欠かせない。支援を必要とする人の立場に立った、包括的な支援体制が構築できれば、国民の間にも、より社会保障による保障が実感されるだろう。そして、地域住民のひとりとして何らかの形でこれに関わることで自らの地域における「居場所」を見つけることができるだろうし、社会保障への理解も更に進むことが期待できる。・・・・・・

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