フォト
2024年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29    
無料ブログはココログ

« 雇用形態による均等処遇についての研究会報告書 | トップページ | 日本の雇用と労働法 (日経文庫) »

2011年7月15日 (金)

雇用契約と業務委託契約の同時存在

水谷研次さんのシジフォスに、東陽ガスの二重契約の事案が取り上げられています。

http://53317837.at.webry.info/201107/article_16.html(働くと借金が膨らむ東陽ガスの蟻地獄労働)

>「雇用契約」と「業務委託契約」を同時に結ばせる「二重契約」によって、業務委託契約書」への「同意」に基づき、車輌のリース代やガソリン代、はては車輌に搭載するカーナビ代まで労働者負担とされ、労基法24条の「賃金全額支払い原則」を免れ、「経費」名目で収入からの控除を行っている。毎月の経費負担が配送の歩合収入を上回った場合、手取りが数万円、また、収入が「マイナス」となり、会社への「借金」となってしまう。月の収入が著しく低く、生活のできない状態の労働者は、会社と金銭貸借契約を結び、年金利6%で生活資金を借りるという有様であり、この借金は、退職した場合、一括して返済しなければならず、借金を返済できなければ、東陽ガスがどんなに劣悪な労働条件であっても次の職を探すために退職するということは困難になるという前時代的な蟻地獄システムが、巧妙に仕組まれている

改めて、『労旬』5月上旬号を読み直してみても、よく分からないところがあります。

一般論として言えば、ある人間が一方では雇用契約を結んだ労働者でありつつ、他方では業務委託契約を結んだ非労働者であることは十分あり得ます。

多くの大学の先生方は、大学との関係では(指揮命令もほとんど受けない裁量労働とはいえ)雇用契約を結んだ労働者であり、何か本を出すときは出版社との関係では非労働者でしょう。

では、同一の事業体との間で雇用契約と業務委託契約を別々に結ぶことは可能かというと、中身がまったく違えば否定する理由はないでしょう。

しかし、本事案の場合、配送については雇用契約で労働者、保安・点検と配管工事が業務委託契約で、実は全体で一体の業務のようですし、何より不思議なのは、雇用契約のはずの配送業務に使うトラックのリース代、ガソリン代、車検代、カーナビ代などが、業務委託契約の経費として差し引かれているという点で、仮に後者の業務が業務委託契約だとしても、既に自己矛盾を起こしているのではないかという点です。「二重契約で巧妙に労基法24条の賃金全額払いを回避」云々と書いてあるのですが、理屈上そうすらなっていないんじゃないか、と。

このあたり、誰か弁護士か誰かに相談して、法律上の問題点をきちんと明らかにした方がいいように思われます。

(追記)

こういう悪質なのとはいささか違いますが、EUの医療労働を調べていたらこんなのが出てきました。

Deloitte Study (December 2010) to support an Impact Assessment on Further action at European level regarding Directive 2003/88/EC and the evolution of working time organisation

>A tendency among doctors in teaching hospitals in some Member States to shift away from a fulltime salaried status (as hospital doctors with an employee contract) to becoming self-employed (BE, PL). Self-employed doctors are not subject to the provisions of the Working Time Directive.
According to HR directors, doctors choose themselves to change their status in order to be able to earn more money. However, we have indications that some of these cases could be considered as fake self-employment. Concrete examples are: doctors signing a contract as an employee and a second contract as ‘self-employed’ with the same hospital to do on-call work, or defining all doctors in the hospital as ‘independent managers’ irrespective of actual level or status. It should be noted that calling someone ‘self-employed’ is not a definitive solution: whether these persons fall within the scope of the Directive ultimately depends on the facts of the relationship between the contracting parties
.

要は、病院勤務の医師が夜間待機の時には自営医師になるという話。日本みたいに無制限一本勝負が可能な国では必要ないけれど(笑)、物理的労働時間が規制されているEUで、待機時間も全部労働時間だという判例が確立すると、こういう抜け道を探そうとするということのようです。いうまでもなく、これも報告書が言うようにインチキ自営業ですが。

« 雇用形態による均等処遇についての研究会報告書 | トップページ | 日本の雇用と労働法 (日経文庫) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 雇用契約と業務委託契約の同時存在:

« 雇用形態による均等処遇についての研究会報告書 | トップページ | 日本の雇用と労働法 (日経文庫) »