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2011年7月20日 (水)

高齢者雇用について論ずべきたった二つのこと

日本経団連が「今後の高齢者雇用のあり方について」という意見書で厚労省の研究会報告を批判しているということで、各方面で話題になっているようですが、

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/080.html

この問題については、既に先月、労務屋さんのエントリにコメントする形で述べていて、それに付け加えるべきことは特にないのですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-0f25.html(ワカモノは怒るべきか?)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-2404.html(高年齢者雇用研究会報告の読み方)

例によって、一部で情緒的議論が吹き上がっているようでもあるので、細かいことは抜きにして、問題の本質だけ確認しておきますね。

単純化してしまえば、問題の本質はこうです。

問題その一、高齢者を働かせずに現役世代の稼いだ金で養うか、それとも自分たちでできるだけ長く働いてもらうか。

問題その二、正社員のポストを高齢者に維持するか、若年者に振り向けるか。

日本経団連にせよ、ネット上で吹き上がっているやに見えるワカモノ(?)にせよ、この第一の問題構造がきちんと理解されているのかどうかが問題です。高齢者を労働市場から追い出しても、自分の懐が痛まないなどと考えてはいけません。高齢者を引退させるということは、現役世代が養うということです。そういうマクロ社会感覚があるかどうかです。

雇用機会だけは絶対的に不足しているが、お金はなぜか絶対的に潤沢であるというような(ある種のベーシックインカム論者に見られるような)認識は、正しいものではありません。

一方、日本経団連が(期間の定めなき雇用で雇われている高齢者にそのまま65歳までの雇用を保障するという意味での)65歳定年に対して否定的であるのは、(厳密な法律上の議論はともかくとして)事実上限られた正社員のポストを高齢者が占め続けることで、若年者をそこから遠ざけ、非正規に追いやる危険性は間違いなくあることからすれば、もっともな理由があると思われます。

日本で65歳定年を議論するためには、正社員の賃金制度をどうするか、非正規労働者との待遇をどうしていくかといった大きな問題に取り組む必要があり、現時点でそのような準備が整っているとは思えません。

もっとも、すでに述べたように、厚労省の研究会も今すぐ65歳定年などと打ち出しているわけではありません(戦略上、あたかもそう読めるかに見える書き方をわざとしていますが)。

わたしはむしろ、日本経団連が指摘していることで重要な論点は、最後の方の「継続雇用における雇用確保先の対象の拡大」であろうと考えています。ここは、現実問題として企業にとって切実なものがかなりあるのではないでしょうか。

現行の対象者選定基準を廃止する代わりに、転籍による雇用確保措置を大幅に認めるというディールはありうるように思われます。

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貧しい高齢者を働かせずに、豊かな高齢者の金で養うのが一番のような…

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