橋口昌治さんの労働経済白書評とその関連ついーと
橋口昌治さんがついった上で労働経済白書についてやや手厳しい評を書いています。
http://twitter.com/#!/rodokoyo
>遅ればせながら『労働経済白書』を読んだ。自分は『若者の労働運動』で若者の問題を社会に認知させた「運動」として、「若者の労働運動」と日本労働研究機構(現在の労働政策研究・研修機構)を中心とした研究者グループや官僚を主体とするものとを挙げた。
>そして正社員にも見られる過酷な労働条件より雇用形態に着目する前者の問題認識と対策の枠組を「若年者雇用問題」と呼び、そこでは「若年非正規労働者(フリーター)を正規労働者へと移行させること,あるいは非労働力化した若者(ニート)を労働市場へと参入させること」が重視されてきたと指摘した。
>白書もその枠組で書かれており、非正規の問題を性別ではなく世代の問題(男性の変化)として捉えている点に「雇用社会」の規範の根強さを感じる(p.154の図は象徴的)。また「ポスト団塊ジュニア世代、正社員へ転換進まず」といった報道のように「ロスジェネ」という問題意識も社会に残っている。
>自分にとって興味深かったのは、成果主義の退潮や職務遂行能力の評価の重要性が強調されるなど日本的雇用の「復活」が言祝がれる一方で、企業内での長期的な能力育成の「復活」と、ジョブカード導入などによる労働市場横断的な技能形成が両立できるものなのか、十分な説明がない点である。
>まぁ筆者の本音は「1990 年代は、厳しい経営環境のもとで、人件費の抑制が求められることとなったが、そこでは、同時に、社会横断的な技能形成がもてはやされ、長期勤続を前提とするような賃金・処遇制度に批判的な論調が強まった。」(p.214)の「もてはやされ」に表れているのではないか。
>つまり、若年男性に非正規労働者が増えていることへの危機感は維持されながらも、その解決をあくまでも(大)企業の長期的な人材育成意欲の復活に求め、労働市場横断的な技能形成、企業外の職業訓練の充実には消極的で、とにかく人間力をつけて(大企業の)正社員になれというのが『白書』の特徴では。
>職務遂行能力、コミュニケーション能力重視という路線は普通教育偏重の追認であり、そうした現状(認識)からどのように職業教育の充実を導いていくのか。また「日本的雇用の解体」「新しい福祉国家」への展望が開けるのか。「ロスジェネ」世代の自分にとっては暗くなるおっさん好みの白書でした(笑)
>あと、文系学科中心の高学歴化が就職に結びつかなかったことを指摘し大学の教育内容の変化を促す一方で、企業内で様々な部署を経験させながらじっくり職務遂行能力を育成していくことの「復活」も喜ぶというのは、矛盾しているのではないかと感じる。
>「賃金制度として広がった業績・成果主義も、分野ごとの業績管理と連動していた面がある。/しかし、こうした一連の動きは、今、見直されつつある。」(260-1)業績管理については不可逆的な変化もあるから以前のものに戻るわけではないだろう。見直しの結果、実態はどうなっているのだろうか。
これに「Uちゃんねる」さんが応える形で、こういう連続ツイートを、
>新卒採用の日本的雇用の復活と、それに乗れなかった人向けのジョブカード型労働市場の整備という、労働市場の「二重化」を目指しているのでは。
>従来型正規雇用とジョブカード型正規雇用は、多分、違うものにならざるを得ない。そうすると、結局、悪名高き日経連「新時代の日本的経営」の描いたポートフォリオに限りなく近づく。
>(1/6) 従来型雇用では、A社の社員として新卒採用されると、A社の社員としての教育を受け、A社内であれば、人事でも経理でも現場管理でも何でも通用する(させる)が、その社員が他のB社に移るとそれが通用するとは限らないというイメージです。
>(2/6) それに対して、ジョブカード型は明文化できる職業技能を積み重ねていくので、例えば、経理技能を身につけると、経理職であれば、A社でもB社でも通用するというイメージです。
>(3/6) 従来型雇用は新卒から定年までの長期雇用を前提とした雇用であり、日経連「新時代の日本的経営」が構想した「長期蓄積能力活用型」に近いのではないかと思われます。
>(4/6) ジョブカード型は、なんだかんだ言っても証明しやすいのは具体的な専門職業能力でしょうから、旧日経連構想の「高度専門能力活用型」に近づいていくと思います。
>(5/6) こう考えていくと、旧日経連の術中にはまっていく感じがしますが、必ずしもそれが悪いこととは限らず、上手くいけば、現状の正規と非正規の雇用格差の縮小に役立つと思います。
>(6/6) ただし、従来型、ジョブカード型、どちらのタイプからもドロップアウトさせられる人たちが出てきて、旧日経連構想でいう「雇用柔軟型」として低賃金で雇用される懸念が残ります。
それにさらに橋口さんがコメントする形で、
>お邪魔します。しかし90年代後半以降「高度専門能力活用型」は増えず、2002年に日経連が提示したのが正社員を「定型的職務従事群」「非定型的職務従事群」に分け複数の賃金体系(前者は職務給、後者に職能給→成果給)を導入することでした
> 「定型的職務従事群」がジョブカードの対象の1つになり、正規と非正規の橋渡し役、あるいは多様な正社員の形成を促進するのかなと思っていたところ、旧来の日本的雇用復活とあり、え?と思ったわけです。勝手な思い込みだったのかもしれませんが
>いわゆる「メンバーシップ」型の日本では、「内」と「外」の関係が難しいと思います。ドイツの抱えている問題については知らないので、教えていただけると助かります。あと話し相手になっていただき、勉強になりますm(_ _)m
これへの「Uちゃんねる」さんのリプライ、
>「定型的職務従事群」をジョブカードの対象にしようとした節は確かにありますが、最近では、キャリア段位制度にジョブカードを活用しようという動きにシフトしているように思えます。新たな専門職労働市場を創ることが目指されています。
>恐らくメンバーシップとジョブ型の混合が目指されているのですが、難しそうですね。ドイツは基幹学校、実科学校、ギムナジウムの複線型教育が特徴ですが、大卒の職が足りなくなると、実科卒の職を奪い、実科卒が基幹卒の職を奪い、資格があっても職にありつけない。ましてや(続)
>(続)ドロップアウトした無資格者は、低賃金労働またはニートにならざるを得ない。といったような問題を抱えているようです。もちろん、いろいろと対策も取られているようではありますが。
>要するに、ドイツも複線型といいつつ、結局は縦の序列になってしまっているということです。
なかなか興味深いやりとりでしたので、そのままになるのがもったいないこともあり、関心のある人が読めるよう拾っておきました。
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