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2011年7月26日 (火)

宮島英昭編『日本の企業統治』

9784492532898 経済産業研究所(RIETI)より、RIETIの研究プロジェクトの研究成果である『日本の企業統治-その再設計と競争力の回復に向けて』(東洋経済)をお送りいただきました。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/11070003.html

この本の内容は以下の通りですが、

序章 日本の企業統治の進化をいかにとらえるか
第I部 日本企業の外部ガバナンスはどう変化したか
 第1章 「メイン寄せ」による規律付けと実証分析
 第2章 株式所有構造の多様化とその帰結
 第3章 日本における経営権市場の形成
第II部 内部ガバナンスと組織アーキテクチャ
 第4章 日本企業による社外取締役の導入の決定要因とその効果
 第5章 何が成果主義賃金制度の導入を決めるか
 第6章 多角化・グローバル化・グループ化の進展と事業組織のガバナンス
 第7章 親子上場の経済分析
第III部 企業統治の変化と企業行動への影響
 第8章 R&D投資と資金調達・所有構造
 第9章 日本の大企業の資金調達
 第10章 配当政策と雇用調整

労働政策面からも興味深い第5章(成果主義)は、齋藤隆志、菊池達也、野田知彦さんらが、また第10章(配当と雇用調整)は、久保克行さんが書かれています。

成果主義についての知見は、

>分析の結果、労働組合の存在が成果主義に対して負の影響を与えること、しかし労使協議制度が存在することでこの効果が緩和されることが分かった。また、負債比率が高い企業においては、負債の規律付け効果を通じて成果主義の導入が促されること、アウトサイダー株主の保有比率が高い企業でも、同様に成果主義の導入に積極的であることが示された。さらに、企業内で従業員の高齢化が進む場合、そして企業成長性が低い場合にも、成果主義の導入が促進される一方、非正規従業員比率が高い企業では、成果主義が導入されにくいことも示された。・・・

>以上の結果が示唆することは、まず、企業は従業員のモチベーションを高めるために成果主義を導入した可能性は否定できないとしても、より直接的には、近い将来における賃金負担の削減を意図したものであるといえることである。・・・

>この研究の限界としては、・・・・・・従業員の平均年齢が高く、企業の成長性が低く、負債比率が高いから成果主義を導入しなければならないのか、逆に成果主義を導入しないから平均年齢が高いまま、成長性も上がらず、負債比率も高くならざるを得なかったのか、という問題である。

とまとめられていますが、最後のところの趣旨がよく理解できませんでした。「逆に成果主義を導入しても・・・」ではないかとも感じられたのですが。

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