社会保障改革案
政治学者と政治評論家と政治部記者その他の方々が大好きな政局の話はそういう方々にお任せして、昨日6月2日の内容的にはもっとも重要なものについて。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/syutyukento/dai10/siryou1.pdf
社会保障改革に関する集中検討会議がとりまとめた「社会保障改革案」です。
冒頭のお題目部分や狭義の社会保障分野、税制問題等についてはそれぞれにコメントされる方々がおられるでしょうから、ここでは「就労促進」と「貧困・格差対策」についての記述を見ていきます。
Ⅳ 就労促進
○ 全員参加型社会の実現のために、若者の安定的雇用の確保、女性の就業率のM 字カーブの解消、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会づくり、障害者の雇用促進に取り組む。
○ ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を図る。
○ 雇用保険・求職者支援制度の財源について、関係法の規定を踏まえ検討
する。
[再掲] 貧困・格差対策 ~ 重層的なセーフティネットの構築
○ 短時間労働者に対する社会保険の適用拡大
○ 社会保険制度における低所得者対策の強化
・ 市町村国保・介護保険における低所得者への配慮、高度・長期医療への対応(セーフティネット機能の強化)、総合合算制度、年金制度における最低保障機能の強化
○ 第2 のセーフティネットの構築
・ 求職者支援制度の創設、複合的困難を抱える者への伴走型支援
○ 生活保護の見直し
これはまだ項目を並べただけですが、うしろについている工程表を見ると、子ども・子育て、医療・介護、年金は所要額(いわゆる「請求書」)がちゃんとついているのに、就労促進はついていないのですね。雇用対策は請求書なしと。
で、全員参加型社会の方は「継続的推進」というだけで新しいことはないようですが、ディーセントワークの実現の方は、有期契約とメンヘルという既定方針のほかにこういうことが書いてあります。
>非正規労働者の公正な待遇確保に横断的に取り組むための総合的ビジョンの策定
>総合的ビジョン:2011年に策定
横断的、ということは、今パート研でやってるパートの話だけでなく、直用有期や派遣なども含めた非正規全般についてのビジョンということですね。
今年策定ということですが、さてどういうものが出てくるのでしょうか。
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