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2011年6月14日 (火)

震災復興と人材ビジネス

NPO法人人材ビジネスコンプライアンス推進協議会の「コンプライアンスニュース」創刊準備号vol.2に寄稿した「震災復興と人材ビジネス」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/compliance01.html

去る3月11日、東北地方太平洋沖を震源地とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、これが東北・関東の太平洋岸に数十メートルを超える津波となって襲いかかり、沿岸の市町村をほぼ壊滅させ、おそらく2万人を超える犠牲者を出した。東日本大震災と総称される今回の大災害に対しては、既に政府の緊急雇用対策が立案され、実施に移されつつある。本稿では、震災からの復旧・復興に向けて、人材ビジネスがいかなる役割を果たしうるのかを考えつつ、この時期に守るべき「コンプライアンス」とは何かという問題にも触れたい。

震災から1か月近く経った4月8日、細川厚労相は人材ビジネスの事業者団体に対し、迅速で的確な職業紹介やマッチングについて官民一体となり積極的に取り組んでもらうよう要請した。そこでは、被災労働者を受け入れられる派遣先を確保し、希望・適性に応じた迅速・的確なマッチングを実施すること、被災地内外の企業が必要な人材を確保できるよう、労働者に多様な選択肢を示すことなどが求められている。この直前の4月5日に公表された「日本はひとつしごとプロジェクト」がマッチング機能についてはハローワークしか挙げず、人材ビジネスに全く触れていなかったことを考えれば一歩前進であるが、4月27日の同プロジェクトフェーズ2においても人材ビジネスの活用が明確に出てきていない。

震災対策にハローワークを最大限に活用すべきは当然だが、ハローワーク自体被災した地域も多い中、被災者への失業給付、被災企業への助成金支給を始め膨大な業務が山積みであり、しかも近年の行政削減の中で他地域から応援できる人員も限られている。この緊急時において、労働市場のマッチング機能をその能力のある人材ビジネスに相当程度委ねることは不可欠ではなかろうか。

このことは、今回の震災対策としてCFW(キャッシュ・フォー・ワーク)という被災者就労スキームを提唱している永松伸吾関西大准教授も強調している。短期間に大量に発生する仕事と被災者の就労ニーズを柔軟に結びつける機能をもっとも効果的に果たしうるのは人材ビジネスであろう。そのマッチングと上記プロジェクトによる被災者や企業への支援措置とを有機的に結びつけ、全体のスキームが円滑に回るように手配することが行政側が傾注すべきことである。

ここ数年来、派遣事業を始めとして人材ビジネス業界は世論のバッシングの矢面に立たされてきた。もちろんそれ以前の時期に、業界の代表的な人物が調子に乗って労働者保護を全面否定するような論調を煽り立てていたこともあり、天に向かって吐いた唾が顔に落ちてきたという側面も否定できないが、人材ビジネスの有益性を全否定するような議論が横行していたことは異常であった。今回の震災復興に人材ビジネスが積極的に取り組み、多くの被災者や企業からその役割を再認識されるならば、ねじれにねじれた人材ビジネスをめぐる現在の議論状況をまともな方向に向けていく一歩になるかも知れない。その意味で、ある部分人材ビジネス業界としての公共的活動としても位置づけ、商売を超えた取り組みを求めたい。これだけ私たちにとって重要な役割を果たしてくれる人材ビジネスに対し、今の派遣法改正案は本当にふさわしい対応なのかという問題意識を国民に持ってもらうためにも。

その上で、詳しくは次回に論じたいが、現行派遣法が立脚している業務限定方式という世界的に極めて異例な規制方式についても、積極的に問題を提起していく必要があると思われる。震災復興との関係でいえば、とりわけCFWなどで想定されている被災家屋の解体、瓦礫の撤去などは、派遣法で禁じられている建設業務との関係で問題になりうる。くっついていれば建設業務で、くっついていなければ軽作業などと分けることが、労働者保護といかなる関係があるのか、まともに説明できる人は誰もいないであろう。ここには、派遣などの三者間労務供給関係がもたらす潜在的危険性に正面から向かい合うのではなく、業務で線引きすれば問題がなくなったことにするという安易な規制方式をとってきたことのツケが露呈しているとも言える。どんな業務であれ、悪い業者の悪い行為は規制し、排除していかなければならないし、良い業者の良い行為は承認し、促進していかなければならないはずである。それが「コンプライアンス」という言葉の本当の意味ではなかろうか

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