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2011年6月 6日 (月)

矢野眞和『「習慣病」になったニッポンの大学』

Kyoiku_mondai_04 矢野眞和さんから『「習慣病」になったニッポンの大学』(日本図書センター)をお送りいただきました。ありがとうございます。

この装丁の教育論シリーズ、広田照幸さん、児美川孝一郎さんといただいて、矢野さんからで3冊目ですが、いずれも一昨年から昨年にかけて日本学術会議の大学と職業との接続検討分科会で熱心な議論をしていただいた方々で、読みながら分科会での議論を思い出すこともしきりでした。

http://www.nihontosho.co.jp/2011/05/post-199.html

>1.新入生が若者ばかりなのは当たり前?(18歳主義)

2.学生も大学も卒業ばかりを重視するのは当たり前?(卒業主義)

3.高い授業料を親が負担しているのは当たり前?(親負担主義)

いいえ、この3つの当たり前こそ、
ニッポンの大学をダメにしている「習慣病」!!

大学が習慣病にかかった背景から、
その病を治すための解決策「授業料タダ論」までを
わかりやすく解説した、未来の大学像を探る画期的1冊
!

矢野さんの主張は、「おわりに」に書かれた「年齢主義に閉じこめられた息苦しい教育と社会の仕組みを変えよう!」ということに尽きるのでしょう。

その「おわりに」の最後近くの文章から、

>・・・就活の話になれば、コミュニケーション能力が大事だと繰り返されていますが、若者のコミュニケーション能力を高める最良の方法は、大人と日常的に会話する機会に触れることです。そんなに大騒ぎする問題ではありません。22歳主義に閉じこめられている異常な日本の大学の空間が、空疎な就活論を繰り返させています。

>大学を無償化するという問題提起だけに矮小化して議論しないで欲しいと願っています。日本的家族と日本的雇用の二つに羽交い締めされて、動けなくなっている日本の大学を救うためには、何をどのようにすべきか、その方法を構想して欲しいと思います。わたしの提案は「教育費政策なくして、改革なし」ということです

ですから、教育システムの問題は、雇用システムの問題であり、(教育費負担も含む)社会保障システムの問題でもあるわけです。

本ブログで昨年末に取り上げた論文

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-4eed.html(矢野眞和「日本の新人-日本的家族と日本的雇用の殉教者」)

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