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2011年6月22日 (水)

連合総研の震災復興・再生への提言

先日ちらと予告されていた連合総研の「東日本大震災 復興・再生プロジェクト」が「国民視点からの生活復興への提言」を本日公表しました。

http://rengo-soken.or.jp/%E9%9C%87%E7%81%BD%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E6%8F%90%E8%A8%80%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81%E7%B7%8F%E8%AB%96.pdf

神野直彦先生を主査に、池上岳彦、加瀬和俊、橘川武郎、玄田有史、駒村康平、西村幸夫といった方々が参加され、神野先生と古市将人さんがまとめられたということです。

内容はさまざまな分野にわたり、とりわけ私には(あまり詳しくないのでその適否はにわかには判断つきがたいとはいえ)漁業の復興について「漁業者の生産再開のためには、従来操業してきた漁業を、再び操業できることが不可欠である。地元漁業者に与えられていた漁業権を、県が奪取=回収し、他地域から参入する企業に、それを与えてしまうという「漁業権開放」特区構想は、家族経営を資本力を持つ企業に、置き換えることを意図しているものであり、東北漁業の中心をなす沿岸小規模漁業の再建にとって有害である」と述べている点は、宮城県知事がまさにそういう方向を目指しているだけに、興味深いものがあります。

ここでは、最後の総論として財源について論じているところをやや長いですが引用しておきます。いろんな意味で、議論が集中するのはその点でしょうから。

>5-2.復興財源のシナリオ

公債の負担は将来世代に転嫁されるという考えと、公債の負担は将来世代に転嫁されないという考えがある。公債負担が将来世代に転嫁されるという立場からの起債原則に、建設公債原則がある。

この建設公債原則によれば、臨時的経費や資本的経費は公債で、経常的経費は租税でまかなうのが起債原則となる。こうした原則に立てば、戦費や大災害の経費は公債で調達してもよいことになる。大災害の負担はたまたま巡り合わせた世代だけではなく、将来世代にも負担を求めても正当化されるからである。公債負担は将来世代に転嫁されないという立場からの起債原則では、不況の時には公債による調達が正当化される。そうだとすれば、現在のような不況のもとでは、公債による財源調達が正当化されることになる。
関東大震災の時には、復興財源をすべて公債に求めた。そのため為替は暴落し、金利は上昇して、外債は国辱国債とすら呼ばれた。そのためかえって、復興事業規模を縮小せざるをえなくなり、金融恐慌を招く結果となった。

現在では、金利上昇が生じていないことから、公債による復興財源調達が困難な状態にはない。しかし、不安定で移り気なグローバル化した金融市場に振り回されないためにも、復興財源は公債のみに依存するのではなく、今回は増税にも依拠すべきだと考える。

5-3.連帯復興基金と連帯復興税

東日本大震災への復興は、ヒューマン・アプローチともいうべき分権型生活復興を目指さなければならないとしても、復興財源は中央政府の責任とならざるをえない。被災地は減免税や徴収猶予こそが必要であり、そのため財政収入は急減することにならざるをえないからである。

しかし、東日本大震災からの復興が「下からの復興」として、地域社会が主導する「分権型生活復興」である必要があるとすると、中央政府からの被災地への財政支援も被災地が自由に使用できる一般財源が重要となる。こうした一般財源を保障する財政調整制度として、日本には交付税制度がある。ところが、交付税のルールをそのまま適用すると、被災地域への財源の再分配には限界がある。

そこで東西ドイツ統一の際に、東ドイツの財政支援のために設置した「統一基金」に学ぶべきである。それまでの財政調整のルールを東ドイツにもそのまま適用すると、財源はすべて東ドイツにいってしまい、西ドイツで財政調整交付金が交付されていた地方政府には財源が交付されなくなってしまう。

そこで5年間の年限を区切って「統一基金」を設置し、この基金から東ドイツの地方政府に支援する。東ドイツの地方政府も5年後には、政府の財政調整ルールのもとに参加できるように努力するという構想である。

この「統一基金」の財源として、ドイツでは所得税と法人税に7.5%の付加税率を課税する「連帯付加税」を設定している。そこで東日本大震災でも時限的に「連帯復興基金特別会計」を設置し、「連帯復興税」を課税すべきである。「連帯復興基金特別会計」は「連帯復興税」とともに、この特別会計が起債する「連帯復興債」と、経費節約で財源を調達し、中央政府の復興事業だけではなく、地方政府の復興事業への財政支援を実施する。

時限的増税である「連帯復興税」の対象は、被災地への負担増を回避するためにも、所得税や法人税などの直接税が中心とならざるをえない。ドイツの連帯付加税でも所得税と法人税の税率が引き上げられている。

この大震災でも復興需要が生じ、景気が回復する。その景気回復は必ず跛行的となる。しかも、阪神・淡路大震災でも被災地に「復興格差」が生じている。こうした不均衡や格差を是正するためにも、所得税や法人税の増税は欠かせない。同時に所得税や法人税は景気回復とともに、自然増収が生じる。

消費税では被災地の生活必需品にも重く課税されるし、不均衡や格差も是正できず、自然増収も生じない。間接税を増税するのであれば、この非常時に控えるべき行為に課税する消費行為税を創設してもよい。節電のために電力使用量やネオン・サインなどの広告、あるいは遊興・娯楽への課税などが考えられる。あるいは貴金属や装飾品などの奢侈品に小売段階で課税してもよい。

復興財源のすべてを国債に求めた関東大震災では、かえって緊縮財政への転換を余儀なくされ、デフレを深刻化させて、金融恐慌を招いている。こうした歴史的教訓に学んでも、今回は復興財源を国債にのみ依存するのではなく、増税と組み合わせた財源調達を選択すべきである

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コメント

>復興財源のすべてを国債に求めた関東大震災では、かえって緊縮財政への転換を余儀なくされ、デフレを深刻化させて、金融恐慌を招いている。こうした歴史的教訓に学んでも、今回は復興財源を国債にのみ依存するのではなく、増税と組み合わせた財源調達を選択すべきである

どこのデタラメ歴史だよw
因果関係が無茶苦茶でんがな。
為替は暴落し、金利は上昇してんならデフレじゃなくてインフレだろ。
インフレにビビリ過ぎて、早すぎた金融引き締めをやったから恐慌に陥ったんだろうが。

加瀬和俊氏の
「失業と救済の近代史」が
出版されたようですね

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