非正規雇用のビジョンに関する懇談会
昨日、「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」の第1回が開かれたようです。
資料がアップされていますので、リンクしておきますが、
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ggjf-att/2r9852000001gh5s.pdf
趣旨は:
>近年、非正規労働者は増加傾向にあるが、雇用の不安定さや勤務条件の低さが問題として指摘されており、これまでは、パート労働者、有期契約労働者、派遣労働者といった非正規労働者の態様ごとに施策が講じられてきた。
そのような中で、非正規労働者の雇用の安定や処遇の改善に向けて、公正な待遇の確保に横断的に取り組むことが求められている。
これを受けて、本懇談会においては、非正規労働者の呼称や態様を問わず広く「非正規雇用」を対象として、非正規労働者の雇用の安定や処遇の改善の観点から、公正な待遇の確保に必要な施策の方向性を理念として示す「非正規雇用ビジョン(仮称)」を策定することとする。
ということだそうです。
参集者は下記の通りで、
荒木 尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授
小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構統括研究員
佐藤 博樹 東京大学大学院情報学環教授
柴田 裕子 三菱UFJリサーチ&コンサルティング政策研究事業本部 政策研究業務企画室長
諏訪 康雄 法政大学大学院政策創造研究科教授
清家 篤 慶應義塾長
樋口 美雄 慶應義塾大学商学部長
宮本 太郎 北海道大学大学院法学研究科教授
横溝 正子 弁護士
新聞によると、樋口先生が座長となったようですね。
で、何を議論するかというと、
1 そもそも「非正規雇用」とは何か(概念整理)について
いや、まさに、それが最大の問題なわけですね。日本独特の「正社員」でないのが「非正規」であるとしかいいようがないため、これは同時に「正社員」の概念整理でもあるわけですが。
>(1)「正規雇用」と「非正規雇用」とを分けるものは何か。
また、「典型的な正規労働者像」と「今後の政策論として念頭に置く正規労働者像」とで違いがあるか。
(「正規雇用」と「非正規雇用」とを分ける考慮要素として考えられる例)
① 労働契約の期間の定めの有無(無期か有期か)
② 所定労働時間の長短(フルタイムかパートタイムか、残業の有無)
③ 直接雇用か間接雇用か
④ 長期雇用慣行を前提とした待遇や雇用管理の体系となっているかどうか(賃金体系、昇進・昇格、配置、能力開発等)
⑤ 勤務地や業務内容の限定の有無
>(2) ワーク・ライフ・バランスやディーセント・ワークの観点から、「典型的な正規労働者」と「非正規労働者」との中間に位置するような雇用形態をどのように位置付けるべきか。
>(3) 「非正規労働者」などの呼称が適当か。
つまり、非正規雇用のビジョンを考えることは、これすなわち正規雇用のビジョンを考えることと裏腹であるわけです。あるいは、「正規」「非正規」という二分法でないビジョンを考えることといってもいいですが。
それがまた、
>2 非正規雇用をめぐる問題点や課題
○ 雇用の安定性、処遇、職業キャリアの形成、セーフティネットといった観点から、どのような問題点や課題がみられるか
>3 非正規雇用をめぐる問題への基本姿勢
○ 価値観や生活様式が多様化し、企業が必要とする人材も多様化する中で、どのような働き方であっても、働くことが報われる社会、公正な見返りを得られるような社会を築くことが重要ではないか。
その中で「非正規雇用」にどのように向き合うべきか。
という問いに答える道であり、
>4 非正規雇用に関する施策の方向性
を考える道でもあるのでしょう。
あとは、100ページ近い膨大な資料がついていますので、いろいろと役に立ちます。
« メイドさんのためのILO条約 | トップページ | だから、それが「リベサヨ」 »
コメント