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2011年6月10日 (金)

臨時工の優遇は不当労働行為か?

さて、小谷敏さんとのコメント欄でのやりとりで、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-6e5f.html

>残業させないのが不当労働行為などといった判例も結構あります

といったのがかなり驚きだったようです。

労働法の世界では、個別労働関係と集団的労働関係に大きく分かれてしまっていて、不当労働行為となると、頭が労働組合法モードになってしまうため、労働時間法の観点から見たら何を言ってんだろ!みたいなのが、今に至るまでフツーに通用してるんですね。

ちょっと観点は違いますが、臨時工の優遇が不当労働行為になるかが争われた事件てのもあります。もっとも、最高裁まで上がった論点はそれとは別のことでしたが。

栃木化成事件(最三小判昭37.10.9)(東京高判昭34.12.23)(東京地判昭33.2.25)(栃労委命令昭32.2.14)

本工は組合員で、臨時工は組合員ではないという状況下で、労働組合が残業を拒否している中で、非組合員の臨時工が残業してくれたというので、賃金を先に払ったり、特別の手当を出したりしたというのと、組合が推薦した者をさしおいて、臨時工を副班長に任命したのが、臨時工を優遇して組合の弱体化を狙った不当労働行為だと、こういう主張です。

臨時工を優遇するのがけしからんというなら、さっさと組合員にしろよ、と言いたくなる気もしますが、こういう事案もあるんですね。もっとも、この事件、労働法の教科書には載っていますが、それは不当労働行為を事前に禁止する命令を出せるかどうかということについての材料としてだけで、中身がこういうものだというのは教科書だけではよく分からないでしょう。

この事件で労働委員会命令が出た後に、その頃存在していた『討論労働法』という雑誌の討論会で、じゃあ、その臨時工を本工にしたら、臨時工にとってはもっと嬉しい好待遇だから、ますます不当労働行為になるんだろうか、いやいや本工になったら組合員になれるので、不当労働行為にはならないだろうとか、いろいろと議論しています。

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