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2011年6月27日 (月)

鶴・樋口・水町編『非正規雇用改革』

05608 経済産業研究所(RIETI)より、『非正規雇用改革-日本の働き方をいかに変えるか』(日本評論社)をお送りいただきました。

http://www.nippyo.co.jp/book/5608.html

このシリーズも、『労働市場制度改革』『労働時間改革』に続いて3冊目です。大変共感を持って読める論文と、それほどでもないものとが、ほどよく混ざり合っている雰囲気も、好ましいところです。3法則氏がいた頃に比べると、大変いい研究をしていると言えるのではないでしょうか。軽口はほどほどにして、

>派遣労働が問題なのではない。
非正規雇用に共通する有期労働契約とそれに付随する雇用不安定、待遇格差を直視せよ。
次世代にとって希望の持てる日本を切り開くためにも非正規雇用改革にまったなし。

という帯の文句は、まさに共感できる台詞です。

全体の構成は以下の通りですが、

第1章 非正規雇用問題解決のための鳥瞰図-有期雇用改革に向けて/鶴光太郎

第2章 派遣労働者の生活と就業-RIETIアンケート調査から
/大竹文雄・奥平寛子・久米功一・鶴光太郎

第3章 非正規労働者はなぜ増えたか/浅野博勝・伊藤高弘・川口大司

第4章 非正規労働者の希望と現実-不本意型非正規雇用の実態/山本勲

第5章 人々はいつ働いているか?-深夜化と正規・非正規雇用の関係
/黒田祥子・山本勲

第6章 派遣労働者に関する行動経済学的分析/大竹文雄

第7章 派遣労働は正規雇用への踏み石か、それとも不安定雇用の入り口か
/奥平寛子・大竹文雄・久米功一・鶴 光太郎

第8章 貧困と就業ーワーキングプア解消に向けた有効策の検討
/樋口美雄・石井加代子・佐藤一磨

第9章 「多様な正社員」と非正規雇用/守島基博

第10章 規制強化に向けた動きと直視すべき現実/小嶌典明

第11章「同一労働同一賃金」は幻想か?
―正規・非正規労働者間の格差是正のための法原則のあり方/水町勇一郎

第12章 有期労働契約法制の立法課題/島田陽一

最後の水町、島田両論文については、ディスカッションペーパーの時にコメントしたので、ここでは事実発見としてとても興味深い事実を指摘している黒田・山本の第5章を。「おわりに」から引用します。

>本章の分析の結果、1990年代から2000年代にかけての日本では、日中に働く人の割合が低下する一方で、深夜や早朝の時間帯に働く人の割合が趨勢的に増加していることが示唆された。この傾向は特に非正規雇用者に顕著であり、・・・。そこで、こうした現象が生じた要因を検証したところ、人口構成・職種構成等の変化とともに、正規雇用者の平日の労働時間の長時間課による帰宅時間の遅れが深夜の財・サービス需要を喚起し、その結果、非正規雇用の深夜就業が増加した可能性も示唆される結果が得られた。・・・

>・・・こうした背景を踏まえると、非正規雇用の深夜化は、日中の好ましい時間帯から閉め出された労働者が、他の時間帯での就業を余儀なくされたことを反映しているとも考えられる。しかしその一方で、長期不況下で時間帯格差が進んだということは、好ましくない時間帯でも職に就く機会は確保できていた、という考え方もできるかも知れない。・・・後者の立場に拠れば、深夜就業規制は、非正規雇用の就業機会を奪うことにもなりかねず、慎重な判断を要する。

>もっとも、近年の日本では、過労やストレスによる心身の疾患が増加しており、こうした背景には深夜や早朝の時間帯での就業率の上昇が関係している可能性も考えられる。また、日中ではなく、早朝や深夜にしか就業できないため、家族や友人と過ごす時間が確保できず、ワークライフバランスが損なわれる可能性もあるかも知れない。日本において、就業時間帯の格差が進んだ原因や健康状態やワークライフバランスへの影響などは、今後検証すべき緊急性の高いテーマといえよう

確かに、コンビニや最近ではスーパーも24時間営業となり、深夜に勤め帰りとおぼしき人々(男女問わず)が買い物をしている光景は、すっかり目になじむものになっていますからね。

>

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» 鶴光太郎・樋口美雄・水町勇一郎[編著]『非正規雇用改革-日本の働き方をいかに変えるか』 [雇用維新 派遣?請負?アウトシーシング?民法と事業法の狭間でもがく社長の愚痴ログ]
経済産業研究所(RIETI)より、『非正規雇用改革-日本の働き方をいかに変えるか』(日本評論社)をご恵投頂きました。 http://www.nippyo.co.jp/book/5608.html 私のような者にまで、お送り頂き、感謝申し上げますm(_ _)m 本書は、独立行政法人... [続きを読む]

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