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2011年6月15日 (水)

労働組合は賃金カルテルだが・・・

「ニュースの社会科学的な裏側」さんに、評論家相手に詰まらん喧嘩を売るな、と諭されたこともあり、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/--9bf9.html(「犬も食わない池田-濱口論争を整理」されました)

淡々と、事実のみを指摘し、労働問題に関心のある方々への参考としたいと思います。そうしておけば、変なイナゴも湧いてこないでしょうし。

さて、例によって池田信夫氏のつぶやきですが、

http://twitter.com/#!/ikedanob/status/80854685522739200

>労働組合は賃金カルテル。ワグナー法までは違法だった

例によって、半分だけ正しいというか、一知半解というか、いやいやそういうことを言ってはいけないのであった。どこが正しいかというと、

1890年のシャーマン反トラスト法が、連邦最高裁によって労働組合にも適用されると判決されたことにより、まさに「労働組合は賃金カルテル」となりました。

これに対し、1914年のクレイトン法が「人間の労働は商品ではない」と規定して、労働組合の行動を反トラスト法の対象から除外したのですが、なお当時の司法はいろいろと解釈して反トラスト法を適用し続けたのです。

それをほぼ全面的に適用除外としたのが1932年のノリス・ラガーディア法で、これを受けて、むしろ積極的に労働組合を保護促進するワグナー法がルーズベルト大統領の下でニューディール政策が進められていた1935年に成立します。

ですから、学生ならお情けで合格点を与えてもいいのですが、社会科学に関わる人であれば「ワグナー法までは違法だった」で落第でしょう。

で、ここからが本題。

このように労働組合がカルテルであるというのは、つまり労働者が企業の一員ではなく企業に対する労働販売者であり、労働組合とはそういう労働販売者の協同組合であるという認識を前提にします。労働組合がギルドだという言い方も、同じです。

欧米の労働組合は、まさにそういう意味で労働販売者の協同組合として、社会的に位置づけられているわけですが、日本の労働社会ではそうではない、というのが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_a4ee.html(半分だけ正しい知識でものを言うと・・・)

の最重要のポイント。

日本の企業別組合は、企業の一員(メンバー)であることが要件であり、そのメンバーシップを守ることが最重要課題なので、自分が働いている職場に、自分のすぐ隣で、同じ種類の労働をものすごい安売りをしている非正規労働者がいても、全然気にしないのです。そんなもの、カルテルでもなければギルドでもあり得ない。

アメリカは自由市場イデオロギーの強い国なので、こういう反カルテル的発想から反労働組合思想が発生しがちなのですが、少なくともそのロジックをそのまま日本に持ち込んで、日本の企業別組合に対して何事かを語っているつもりになるとすれば、それは相当に見当外れであることだけは間違いありません。

批判するなら、「もっとまともなギルドになれ!」とでもいうのでしょうかね。それは立場によってさまざまでしょうが。

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コメント

地に足ついた労働者じゃない人たちが何を説明しようと、観念的なばかりで全くピンときません。学問の前に労働への理解がないのでは。

投稿: 鞠 | 2017年1月 2日 (月) 20時11分

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